年末調整でいくらか手元にお金が戻ってきたとき、すごく得した気分になりませんか?
先に収めた自分のお金なのに、なぜか余分に多くもらえたような感覚になります。
これはサラリーマンの所得税の例ですが、実は自動車税も同じです。クルマを廃車するときは、先に収めている自動車税の未使用分が戻ってきます。5月に年額で納めた一年分の自動車税が、月割りで還付されるのです。
しかし、この仕組みがよくわからず、本来もどってくるはずの税金が何割か少なくなってしまう人もいます。せっかく還ってくるはずのお金が減ってしまうなんてもったいないですよね。
そこで、今回はどのような点に注意すれば、損をせずしっかりと還付されるか、その最適な方法をご紹介します。わかりやすくお伝えしていきますので、ぜひ実践してみてください!
目次
自動車税は4月1日時点での車検証の所有者にかかります。
この日の所有者かどうかで判断され、その本人に納付書が届くのです。5月31日までが納付期限になります。
他、自動車税にはこのような特徴があります。
自動車税の考え方が分かりやすくなるポイントは”4月1日”です。まずは、この起点を覚えておきましょう。
普通車と軽自動車は根本的に仕組みが異なるので注意しましょう。
普通車 | 月割りで還付あり |
軽自動車 | 還付なし |
普通車は、廃車をすると自動車税が月割りで還付されます。たとえば9月に廃車をしたら、10月からの6か月分が還付されるのです。還付されることで実質半分の負担ですむことになります。
一方、残念ながら軽自動車には還付がありません。4月1日所有者の責任払い、といわれています。たとえ4月2日に手放すとしても、一年分の納税義務が生じてしまいます。
たった1日で一年分ですから、このタイミングは避けたいところです。軽自動車ユーザーの方は気をつけましょう。
陸運局で手続きを行うと、自動車税は還付されます。手続きとはナンバープレートを返納し、所有者であった本人を文字通り抹消するものです。この処理によって、車に持ち主がいない状態になります。
持ち主がいなければ税金はかかりませんから、翌月分から戻るというわけです。ただし実際に税金を取扱う窓口は陸運局ではありません。自動車税は各県の県税(都税)事務所が管轄しています。
この2つの行政は連携されており、陸運局で抹消された情報が自動的に県税事務所まで届く仕組みになっています。わざわざ陸運局で抹消手続きをして、それから税事務所へと足を運ぶ必要はないわけです。
ちなみに全国の各陸運局の敷地内には、必ず税事務所が併設されています。それだけ密接な関係ということですね。
ところで廃車をする場合、その手続きを自分でする人は少数でしょう。自分でナンバーを外したり、陸運局に出向いたりといった機会はまずないですよね。販売ディーラーや専門業者に依頼をし、車と書類を引き渡した後は全てまかせてしまうのが一般的です。
ここで気を付けたいのは、車を引き渡した日=抹消手続きをした日、ではないことです。依頼した後、どのタイミングで陸運局に行くか、は先方の都合になります。大事なポイントなので、もう少し詳しくみていきましょう。
廃車を依頼したその月に抹消手続きをしてくれる、とは限らないので気を付けましょう。
乗っていた月ではなく抹消された月までが本人が所有していたという理屈ですから、還付される自動車税はその翌月から、という計算になります。8月に引き渡したから9月分から戻る、とはならないので注意が必要です。
たとえば8月25日に車を廃車依頼して引き取ってもらったとします。てっきり8月中に手続きが行われる、と思ってしまいませんか?ここに落とし穴があります。
書類が揃っていれば実質1日で手続きは完了します。しかし業者は毎日、陸運局に行くわけではありません。1週間に1回かもしれないし、ひどいところだと1か月に1回まとめて、というところもあるのです。
ディーラーも同様です。
こちらの場合は社内のシステムが出来上がっていますから、書類が店舗から総務にまわって(総務便も毎日ではない)、そこから車両課にまわって、と日数を要する場合がほとんどです。融通がききづらいので、2,3日でとお願いしてもまず通らないでしょう。
1週間あるから大丈夫だろう、という思い込みは捨てましょう。大切なのは、いつ抹消手続きがされるのかを確認・約束することです。のんびり待っていると、月またぎにされ、1か月分の自動車税を取りこぼします。
たかが1か月、されど1か月。2500ccクラスの普通車なら、年額45000円、月額3750円です。3750円あれば、お父さんの昼食代1週間分!に相当します。
抹消手続きが無事完了したら、県税事務所から自宅あてに還付通知書が届きます。送付は意外と遅くて、2か月くらいみておいたほうがいいです。
現金や振り込みではなく、還付の通知書です。この通知書と印鑑を持って指定の金融機関にもちこみましょう。その場で現金に換金してくれます。
チェックポイント!
1 期限があります。受け取り期間は1年です。
2 還付額の確認。月またぎで抹消されていれば1か月分少ないです。
2に関しては、事前に確認もできます。
これは廃車の鉄則なのですが、必ず抹消された謄本を確認してください。その際、完了した旨を依頼業者から電話で聞いてはダメです。郵送してもらい自分の目で確かめましょう。その時に日付も確認し、指定した月で抹消されたかもチェックしてください。
チェックポイント!
1 自分の名義が抹消されているか?
2 抹消された日は約束の期日内か?
以上の確認がとれれば、あとは還付金を待つばかり。還付通知書は忘れかけたころに届きます。少し得した気分になるかもしれませんね。
こちらの記事もご参考ください。
『自動車税の納税証明書はいつどこで必要?使うタイミングを徹底解説!』
還付の仕組みをより分かりやすくするために、事例を3つあげます。廃車する時期によって損得の盲点がありますので、参考にしてください。
8月にカローラを廃車しました。 排気量1500ccで自動車税の年額は34500円。 手続きも確認でき、確かに8月30日に抹消されています。 |
その場合の計算は以下のようになります。起点は4月1日ですから、負担税額は、【4・5・6・7・8月】の5か月。
残りの【9・10・11・12・1・2・3月】の7か月分が還付です。
年額34500円の7か月分で20100円が還付になります。手元に還付通知書が届く時期は、10~11月くらいでしょう。
年度末の3月にステップワゴンを廃車しました。 排気量2400ccで自動車税の年額は45000円。 手続きも確認でき、確かに3月31日に抹消されています。 |
起点は4月1日ですから、負担税額は、【4・5・6・7・8・9・10・11・12・1・2・3月】の12か月。
この場合12か月フルに使っていますので、還付額は0円です。つまり3月に抹消すると、還付額はありません。
ちなみに、3月31日を1日でも過ぎるとどうなるでしょうか。4月1日をまたぐことになり、次年度の納税対象になってしまいますよね。
廃車をすればあとで還付されるとはいえ、はじめに年額の持ち出しがありますから、財布から45000円が飛んでいきます。今度は何だか損した気分になりませんか?
そのような心理が働き、3月中に車を手放したい人が大勢います。さらに輪をかけて、ディーラーによる新車の登録、中古車販売による登録などが業界をあげて陸運局に押し寄せます。特に3月31日の最終日は、陸運局が激コミになり何時間も並ばなくてはなりません。
この現象は、年度末の風物詩となっています。もちろん、業者が3月31日の手続きを嫌がるのは言うまでもありません。このような理由から、ギリギリでは断られるケースもあります。
3月に依頼する場合は、日数に余裕を持って行動し、必ず抹消日も事前に打ち合わせましょう。
5月にワゴンRを廃車しました。 排気量660ccの軽自動車で自動車税の年額は10800円。 手続きも確認でき、確かに5月8日に抹消されています。 |
ワゴンRは軽自動車なので還付がありません。年額は10800円で、起点の4月1日所有者が責任払いです。
廃車にするなら3月中に抹消したほうが断然お得です。4月1日をまたぐと納税しなくてはなりませんから、3月廃車は節税と言っていいかもしれません。
ケース3のように5月に廃車するのは、タイミング的には非常に避けたいところです。もう少し乗ってからか、あるいは早めて3月、というのが賢い選択でしょう。
結論から言いますと、自動車税を払っていなくても廃車はできます。廃車は陸運局、納税は税事務所と、それぞれ管轄が違うので未納でも廃車はできるのです。ただし、廃車したからといって滞納している分が免除になるわけではありません。
自動車税を払ってないから廃車できない・・と悩んでいる方は、とにかく、いち早く廃車することをお勧めします。
抹消手続きをして所有者を降りれば、ひとまずそれ以降の課税を止めることができます。もし放置を続けるとどうなるでしょうか?
自分が車の持ち主である限り、納税の義務はついてまわります。毎月毎年、課税の対象になり、税金はどんどん膨らんでしまうのです。さらに未納分に延滞金まで上乗せされていきます。
廃車の手続きをして、それから自動車税の工面をする。この順番なら最低限の出費ですみます。1か月分でも無意味な税金を払う必要はないのです。
自動車税を2年滞納していると、抹消することができないので注意しましょう。この場合の賢い方法は、まず一年分だけを先に支払ってしまうやり方です。
すると残りは一年分になりますから、抹消手続きが可能になります。素早く抹消し、以降の課税をストップさせこれ以上増えないようにします。
こちらの記事もご参考ください。
車を廃車したからといって納税義務を逃れることはできません。そのまま未払いにしていると、勧告書が届き、次に催促状が届き、最終的には財産を差し押さえられたりします。
お金に余裕がないときは、分納ができる場合もありますから、税事務所に相談をしてみるのも一つの手です。
こちらの記事もよく読まれています
わからないことが出てきたら、廃車を依頼した業者に聞くのが一番ですが、それでも要領を得ないときは、県税事務所に直接連絡してみましょう。
車の登録ナンバー、車台番号がわかれば、その場で今の状況を教えてくれます。ただし、個人情報がからんでくるので、本人確認など必要な場合があります。各都道府県によって、対応には若干のバラつきがあるようです。
関東地方の税事務所を載せておきますので、普通車保有の方はご参考ください。
・東京都 自動車税コールセンター 03-3525-4066 ・神奈川県 自動車税コールセンター 045-973-7110 ・埼玉県 自動車税コールセンター 050-3786-1222 ・千葉県 自動車税コールセンター 043-243-2721 ・群馬県 自動車税コールセンター 027-263-4343 ・栃木県 自動車税コールセンター 028-658-5521 ・茨城県 自動車税コールセンター 029-247-1297 軽自動車に関しては管轄が変わります。 |
廃車は、そのタイミングが大切です。自動車税がどのように還付されるか、その性質を理解していれば計画的に車を手放すことができます。
また、自動車税を滞納している場合もやはり同様です。納税の状況によってやり方は変わってきますが、基本的には同じ考え方です。
自分が使用した分はきちんと納税する。
使用していない分については、無駄な出費をおさえる。
払わなくていいものまで払う必要はないのです。
最後に、自動車税のことがよく分からなくなくなったときの魔法の言葉をお教えします。
“4月1日”
この言葉を覚えておけば、きっと一連の流れがイメージがしやすくなると思います。今から廃車をお考えの方は、ぜひ以上の点に注意して実践してみてください。
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
おもいでガレージの問合せフォームから査定依頼をすると、あたなの愛車の価格がかんたんにわかります。廃車査定は現車を見せる必要がないのが特徴で、その場にいながら手軽に金額を知ることができるのです。
まずはお気軽に査定額を調べることから始めてみましょう!
おすすめ記事