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東南アジアの中古車輸出事情をさらっと探る!タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピンなど

海外輸出
公開日: 2020.05.10 / 最終更新日: 2021.08.24
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自動車の寿命は比較的長く、日本では走行距離10万キロ・新車から数えて10年目というのが、寿命を把握する一つの指標となっています。

 

しかし、自動車自体が非常に高価な買い物であることから、国によっては新車を買うよりも中古車を修理しながら乗り続ける方に魅力を感じるところも多く、中古車のニーズが非常に高い国々が多く見られます。

 

東南アジア各国もその中の一つで、情報技術の発展に伴い、良い中古車を得ようとする動きが加速しています。そこでこの記事では、主に東南アジアの中古車事情にフォーカスして、最新情報(2020年3月時点)や過去の取り扱い等についてご紹介します。

 

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東南アジアの中古車市場は活況へと向かっている

市場全体を見通して見ると、東南アジアの中古車市場自体は活況の様相を呈しており、日本企業による市場づくりが目立っています。まずは、活況が続くインドネシアについて、市場の動きをチェックしてみましょう。

 

日本企業によるオークション運営

日本における競売大手の「ジャパンバイクオークション」は、2011年、インドネシアに中古車取引のシステムを導入しました。ジャカルタをはじめとする主要都市に会場を設け、通信回線で遠隔取引を実現したことにより、取扱台数は年々増加しています。

 

現地法人である「JBA(ジャパンバイクオークション)インドネシア」公式サイトの情報によると、2012年から四輪車の取引が本格化し、2018年にはおよそ7万台近い取扱台数となっています。

 

2012年時点でインドネシアの新車販売数は100万台を突破していたことから、中古車市場は下取り台数の増加とともに活況が見込まれ、それを見越した戦略が当たったと言えるでしょう。

 

参考サイト:https://www.jba.co.id/jp/about-us

 

 

 

アジア大手との提携により、さらに市場は拡がりを見せる

契約12

 

JBAインドネシアは、2019年12月にマレーシア系の中古車サイト運営会社「カーサム・インドネシア」と業務提携することを発表しています。お互いの中古車販売チャンネルの活用によって、ディーラーを増やすのが狙いです。

 

提携が成立したのは、JBAインドネシアとカーサム・インドネシアの得意分野に違いがあったためです。

 

JBAインドネシアでは、ファイナンス会社から引き揚げた自動車・リースアップした自動車を中心に、全国18カ所の拠点でオークションを行っています。

 

これに対してカーサム・インドネシアでは、中古車を売りたいと考えるユーザーから中古車情報を吸い上げ、自社のウェブサイトに掲載することで消費者⇔ディーラー間の取引を仲介するスタンスを取っています。

 

 

 

二社が組むことのメリットとは

この二社が業務提携することにより、JBAインドネシアで落札されなかった中古自動車が、カーサム・インドネシアのウェブサイトに情報が提示されるようになるため、オークションが開催されない日でも買い手が見つかる可能性が出てきます。

 

逆にカーサム・インドネシア側としては、買い手が見つからない中古車をオークションにより競売できるチャンスが生まれます。

 

JBAインドネシアは、ディーラーを中心に取引を行ってきたことから、個人消費者に対する認知度が弱いものと認識しており、その点が改善されるメリットがあります。

 

一方、カーサム・インドネシアの側では、年数が経過した中古車の販売に苦戦していたところ、JBAインドネシアのシステムを活用することで、自動車の状態を確認できるオークションを活用して買い手を探せるようになります。

 

それぞれの得意とする部分が、お互いを補完する関係にあるため、今後は地方も含め大幅な展開が考えられます。

 

 

 

他の東南アジア各国でも、中古車のニーズは高い

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インドネシアだけでなく、他の東南アジア各国でも、自動車・中古車のニーズは年々高まっています。以下に、主な国々の特徴をご紹介します。

 

ASEANではタイが流通の中心

東南アジア諸国の中でも、特に自動車大国として知られているのがタイです。ただ、市場はアメリカ・日本などと比べるとやや閉鎖的で、バンコクを除くと自動車の普及率はまだまだ低い部分は否めません。

 

タイで中古車販売に用いられるのは、俗に「テント」と呼ばれる小さな店舗のため、1区画あたり自動車は多くて20台停められるかどうかといったところです。

 

そこにオフィスブースの電話があり、1つのエリアに店舗が密集しているというイメージです。

 

このような小規模事業者が流通の中心にいることから、中古車市場が売り手市場となっている点は否めず、日本の中古車市場のような細かいルールが定まれば、爆発的に市場が成長する可能性は十分あります。

 

地方でのニーズも強く、タイでの年間走行距離数も3万キロほどになると言われるため、消費者にとってクリア仕組みを整えることが今後の課題になるでしょう。

 

 

 

表向きは中古車輸出NGのフィリピンだが……

日本と比較的縁が深い国の一つであるフィリピンは、左ハンドルの国のため、日本の右ハンドル車の輸入は原則禁止されています。

 

しかし、例えば産業用トラックの輸出は輸出許可証を取得できれば可能となっており、取引業者との手続きに明るいブローカーと組めれば、全く輸出ができないというわけではないようです。

 

2018年にはフィリピン向けの日本車トラック輸出が、世界におけるトラック輸出台数の1位になったという統計もあり、表向きの事情と実際の事情には差が生じているものと推察されます。

 

また、フィリピンとしても規制の強化ばかりではなく、経済特区を設けることによって経済活性化を図りたい思惑もあることから、今後より輸出に関する事情が柔軟になる可能性は十分考えられます。

 

 

 

マレーシアでは自動車が庶民の足となりつつある

東南アジアで成長著しい国の一つ・マレーシアですが、かつて自動車は富裕層が乗る乗り物でした。しかし、2018年時点では国民の2人に1人が自動車を保有しているとも言われており、長期にわたってローンを組める仕組みが生まれています。

 

マレーシアの特徴として、日本のような車検制度・廃車制度がない点が挙げられます。

 

実質的に全く動かなくなるまで乗られることが多く、中古車を購入する層も一定数存在しており、基本的には乗れるまで乗りつぶす国民性と言えます。

 

日本からの中古車輸入は事実上容認されており、部品市場も活発であることから、自動車のニーズの高さがうかがえます。

 

 

 

日本からの輸入を原則禁じている国も少なくない

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日本車の人気は高いものの、中古車を日本から輸入することを禁じているアジア諸国は少なくありません。以下に、主な国名・特徴などをご紹介します。

 

右ハンドル輸入禁止を掲げている国々

日本で暮らしていると、右ハンドルは標準的な基準のように思えますが、海外では左ハンドルを主流としている国が多く見られます。これは東南アジアでも同様で、中古車ビジネスが盛んな国でも日本からの中古車輸出には制限がつくケースも多いようです。

 

代表的な国名としては、ベトナム・カンボジア・ミャンマーなどが挙げられ、一部重機などを許可されているケースを除き、右ハンドル車の輸入が禁止されています。

 

ベトナムの場合は少し厳しく、仮に輸入前に左ハンドル仕様に改造されたとしても、輸入禁止という扱いです。

 

 

 

中古車市場の活況と、自動車の輸入とを分けて考える必要もある

先ほどご紹介した通り、タイでは中古車市場が活発化していますが、これを日本車の輸入ビジネスにつなげるのは難しい部分があります。

 

これは、国内産業保護育成と環境汚染抑制の観点から、中古車が「輸入許可取得必要品目」(全19品目)の一つとされているからです。

 

新車と同様のレベルで規格基準・厳しい輸入条件が課せられており、関税もあることから、一部の特殊な目的を除いて輸出は認められていないものと考えてよいでしょう。

 

インドネシアも2000年代を境に中古車の輸出が途絶えており、今後の状況は不透明です。ただ、自動車のニーズを考えると、今後国内で良質な車を求める声が高まり、輸出がOKになる可能性は否定できません。

 

 

 

システムを導入することは可能

中古車そのものを輸出することはできなくても、中古車市場等に関わるシステムを海外に導入することは可能です。

 

一例を挙げると、フィリピンではプリペイド式のトライシクルにIoTデバイスを取り付けたレンタルサービスが流行っており、その仕組みを作ったのは日本企業です。

 

これは主に日銭を稼ぐドライバー向けのサービスで、一定の日数ごとに支払いをしなければトライシクルが動かないため、支払いが滞ることはないそうです。

 

デバイスを介した情報の蓄積も行われるため、今後自動車ローン・保険ビジネスなどに応用される可能性も考えられます。

 

 

 

おわりに

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東南アジアは、経済の発展とともに自動車市場の成長が見込まれ、庶民にとっても車が身近なものになる可能性を秘めています。しかし、中古車の輸入を禁止している国も少なくないため、単純に日本の中古車を輸入すればOKという話でもないようです。

 

新規参入を考えるのであれば、各国の事情を理解した上で、ビジネスに必要なシステムを開発・提供するなど、柔軟に市場と関わることが成功の秘訣と言えるかもしれません。

 

 

 

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