日本から見ると、アフリカはとても遠い国々のように感じるかもしれません。
しかし南アフリカ共和国は日本で人気となったルイボスティーの産地ですし、チョコレートの原材料であるカカオはガーナが主な輸入先。意外なところで私たちと密接につながっていたりします。
中古車市場においても同様で、日本車はアフリカの大地でも高い人気を集めています。そこで今回はアフリカの中古車事情について、人口増・経済成長などのキーワードから詳細を紐解いていきます。
目次
日本車のアフリカへの輸出について、取引の割合が増加してきたのは、比較的最近のことです。
財務省の統計によると、2001年ころは2.5万台ほどの台数だったものが、2010年を超えるあたりから20万台規模にまで台数が増えており、およそ8倍にまで規模が膨らんでいます。
このような傾向が生まれた理由の一つにリーマンショックがあり、中古車の輸出台数が減少する中、比較的新しい市場としてアフリカが注目され始めたという事情があるようです。
ただアフリカ大陸はとても広いため、ビジネスを展開するなら「どの国が日本の車を必要としているのか」を知る必要があるでしょう。
貿易上の統計において、アフリカ地理圏にはおよそ60の国があると言われています。
この統計には島国も含まれているため、実質的な取引相手となる国は少なくなりますが、細かいことを考えずに可能性だけを考えれば、アフリカにはそれだけのビジネスチャンスがあると言えるわけです。
ただアフリカ大陸が抱える問題は根深く、内戦などの政治不安も後を絶ちません。そのため従来安全な環境で商取引を行ってきた日本人にとっては、アフリカで取引すること自体を不安視する人が多く、対アフリカビジネスをポジティブに捉える人はまだまだ少数派といえそうです。
ケニアの工場でトヨタと三菱と 軍用車が一緒に組み立てられるわけ
JICA 独立行政法人 国際協力機構
日本で走る日本車は、特殊な事情を除いて右ハンドルで新車が販売されることから、自ずと中古車も右ハンドルで輸出することになります。そのため商取引を行える地域は、原則として右ハンドル(左側通行)である必要があります。
実際に右ハンドル(左側通行)である国を数えると、世界的に見てもその数は圧倒的に少数派です。アフリカでも例外ではなく、主にイギリスの植民地だった国・イギリスの影響を受けた国が右ハンドル(左側通行)となっているようです。
具体的には、南アフリカ共和国のような大きな国をはじめ、ボツワナ・レソト・セーシェル・ザンビア・マラウイ・ケニアなど、主にアフリカ南側・東側の国が該当しています。この点も、日本車の取引に少なからず影響を与えています。
中古車を輸出しようと試みても、単純に自動車のニーズがあるだけでは、購入する側の心は動かないのが現実です。車を欲しい人がたくさんいても、車を買うだけの資本がなければ、市場は発展しません。
アフリカで豊かな国を名目GDPで取り上げてみると、南アフリカ共和国を筆頭にアルジェリア・ナイジェリア・エジプト・モロッコなどの国が挙がります。しかし、アフリカ全体で見ればGDPは低い傾向にあり、その分経済規模も大きくなりにくい傾向は否めません。
市場の発展性だけでなく、現段階での市場規模も踏まえて戦略を立てることが、アフリカで中古車の売買に携わる業者には求められると言えそうです。
アフリカの中古車市場に厳しい視線を向ける国・企業がある一方で、世界的に見てアフリカにおける車のニーズは高い傾向にあり、今後もその傾向が続くものと予想されます。それは、アフリカにおける人々の暮らしが、年々変わってきていることに一因があります。
どの国・会社も、今後の発展を求めて活動を継続しますが、アフリカも例外ではありません。日本が抱いているアフリカのイメージは、一昔前と大きく変わっているのです。
日本では人口減が大きな問題となっていますが、世界的に見れば人口は増大傾向にあります。特に、アフリカ全体の人口は、2050年にはおよそ22億人にまで増えるものと予想されており、やがては中国の人口を抜き去るものと予想されています。
2010年時点の10億人という人口から考えると、将来的にアフリカが40年で2倍以上の人口を抱えることを意味しており、ビジネスはもとより、生活水準の向上を求めて車を必要とする世帯が増えるのは必然です。
アフリカ大陸の人口増は、そのまま自動車のニーズを高める結果につながると考えてよいでしょう。
アフリカの大多数の国について、日本人は発展途上国であると認識しているかもしれません。サハラ砂漠やサバンナのイメージが強いアメリカですが、新興国としてGDPが伸びている国々では、どんどん都市化が進んでいます。
確かに、ソマリアのように混乱が続いてる国があることも事実です。しかし、南アフリカ共和国のプレトリア・ヨハネスブルクなどには高層ビルが立ち並んでいますし、ナイジェリアのラゴスはアフリカ最大級の都市とも言われています。
歩く人も、いわゆる原住民的な服装をイメージする方が古臭く、スーツを着たビジネスマン・オシャレな格好をした女性などが街を歩いています。
道路も整備されてきており、車が数多く走っている地域も見られるようになりました。ただ、日本のように鉄道が整備されていないことから、自家用車を欲しがる人は多く、自国に自動車メーカーがないこともあって車の絶対数は不足しています。
日本車はその頑丈さから人気があるため、現地ディーラーを介さず直接日本から購入したいと考える人は少なくありません。
日本とアフリカとの距離は物理的に大きく離れているため、アフリカで日本車に興味を持った個人顧客は、インターネットを介して注文・販売を行う傾向にあります。この点も、技術革新によってアフリカが進化したことの表れです。
2000年代、アフリカは特にインターネットの普及率が高まった地域の一つで、成長率は2000年時点と比べて2015年時点では7,000%を超える勢いです。
サハラ以南では、慢性的な電気不足解消のために太陽光発電が本格的に導入され、スマートフォンも普及していることから、今後も取引は増えるものと推察されます。
消費経済にどこまでの勢いをもたらすかは未知数ですが、少なくとも世界各国との取引を行いやすくなったという点は間違いなく、日本もまた数ある輸出国の一つであると押さえておく必要があります。
日本車は頑丈なため、道路状況が不十分なアフリカ諸国で人気を集めている点は疑いありません。しかし、中古車輸出においてアフリカに熱視線を送っている国は、もちろん日本だけではありません。
2019年11月、中国は初めてアフリカ向け中古車の大規模輸出を行いました。中国は広東省の「東莞市・麻涌新沙港」からベナン・コトノウ港まで、500台の中古車を搭載した船を出向させました。
アフリカの前には、ロシア・中東地域向けに輸出を行っており、こちらが成功したことを受けて新しく遂行されたプロジェクトです。
もともと大きな市場を持っていた中国の車社会は、不要となった大量の中古車をさばくため、新たな市場にアフリカを選んだようです。
アフリカの中古車市場の動きについて、欧州のベンチャーキャピタルも動きを見せています。
一例を挙げると、スウェーデンのベンチャーキャピタル・Vostok New Ventures(VNV)は、中古車のオンライン買取サービスを運営・展開している南アフリカの「CarZar」に投資しています。
CarZarというサービスの最大のキモは、統計データを利用して見積価格を公平な金額で計算できるところにあります。メーカー・モデル・販売年・ボディの傷・走行距離などをオンライン上で入力すれば、かんたんに見積もりを取ることができ、車体検査も無料で行ってくれるという仕組みです。
VNVは、自動車業界に関連した最新技術への投資を惜しまないため、今後アフリカで伸びるサービスと判断したものと推察されます。自国で自動車メーカーを持つ国であれば、アフリカに何らかの形で関与したいと考えるのは、自然なことなのかもしれません。
アフリカ諸国への日本の中古車輸出は、多くの場合、アフリカ在住の現地人が運転することを想定しています。例え国全体が貧しくても、富裕層は一定数存在しており、インターネットで中古車販売業者の情報を確認してアプローチするケースは多いようです。
ただ、実際に誰が購入しているのか買い手を確認すると、アフリカでビジネスを行う中国人・インド人などが日本車を購入している例も少なくなく、特に商業用の車が求められるようです。
トヨタのハイエースは用途を選ばないため海外で人気がありますが、状態が良いものなら中古でも200万円ほどで取引されます。また、中国人は現地で購入する反面、インド人は日本から直接買い付けることを考える人が多い傾向にあります。
いずれにせよ、現地人のニーズを汲むために、現地で商売をする外国人が日本車を求めている点も、アフリカの中古車市場では無視できない動きと言えるでしょう。
アフリカの中古車市場では、日本車の堅牢さ・使い勝手の良さが評価されており、10万キロ走ったぐらいの車なら値は大きく下がりません。特に、商用車や建機のニーズは高く、良い車を手に入れようとオンラインでの取引は加速しています。
オンラインでの参入が可能なため、日本国内で中古車をさばく相手が見つからない事業者にとって、日本ブランドを推し出してアフリカで買い手を探すのは悪い選択肢ではありません。
一昔前に日本人がアフリカに抱いていたイメージは過去のものとなりつつあり、アフリカ全体の人口も増加傾向にあるため、今後数十年にわたり自動車のニーズは高まるものと考えてよいでしょう。
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