今や、軽自動車や普通自動車問わずに、ほとんどの車に標準装備されている「アイドリングストップ」機能。
現在は、ポルシェやフェラーリなどのスーパーカーにも採用されているほど、当たり前の機構となっています。
現代でこそ、車の燃費向上や排気ガス削減に貢献する機能として注目されていますが、その歴史をさかのぼると、実は40年以上も前に開発された機能なのです。
開発当初のアイドリングストップ機能は、メリットばかりの万能な機能というわけではなく、むしろ「エンジンに負担がかかる」「バッテリーに負担がかかる」「加速がワンテンポ遅れる」「セルモーターに負担がかかる」などのネガティブな部分が大きかったため、一般的に普及するには至りませんでした。
しかしながら、大手自動車メーカーとその関連企業による努力による自動車技術の日進月歩の発達により、その機能は飛躍的に改善されて、現在のようにほとんどの車に装備されるに至っております。
今回は、そんなアイドリングストップについての、
などを詳しく説明していきますので、ぜひこの機会に現代の車には標準的に付いているアイドリングストップ機能について学んでみましょう!
目次
そもそも、「アイドリングストップ」とはどういう意味なのかわからない人も多いはずです。
そこで最初に「アイドリング」について解説します。
一般的に「アイドリング」とは、いつでも動き出せる状態を維持しつつ動かずに待機している状態のことを言います。
アイドリング時は、車を再び動かすためにアクセルペダルから足を離してもエンスト(エンジンが完全に停止)しないように、最低限の回転数を維持した状態になっています。
例えば、車に乗ってエンジンをかけた直後や、信号待ちで車が停止している状態は、エンジンが稼動しているけどアクセルは踏んでおらず、ブレーキやパーキングブレーキがかかった状態で車は前に進んでいませんが、すぐに車を動かすことができる状態にあります。
このような状態を、アイドリング状態といいます。
また、アイドリングは「暖機運転」とも呼ばれることがあり、1980年代以前の車においては、エンジン始動時にエンジンを温めないとエンジン本来の性能を発揮できなかったため、冬季や寒冷地においてはエンジン始動時にエンジンやエンジンオイルを温めるために一定の時間をアイドリングすることがありました。
しかしながら、現代の車においては暖機運転をしなくても十分なエンジンの性能が発揮できるようになっているため、一般的に暖機運転を行う必要が無くなっております。
なので、現代において「アイドリング」は、停車中あるいは信号待ちでエンジンをかけている状態のことを意味しているのです。
なお、「アイドリングストップ」という言葉は和製英語なので、外国の方に話しても通じません。
このアイドリング状態は、車が停止していてもエンジンが動いているため、排気ガスを無駄に排出したり、燃費に悪影響を与えてしまう状態といえます。
そこで、環境保全意識が高まった現代において、停止しているときはエンジンを切り無駄な排気ガスを少しでも出さない「アイドリングストップ」を行うことが推奨されるようになってきたのです。
その昔、アイドリングストップを行う時は、停車中に自分でキースイッチをオフにしてエンジンを止める必要がありました。
この記事を読んでいただいている方の中にも、実際にそのようにされていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その後、停止中にブレーキペダルを踏んでいれば自動でエンジンが止まる「アイドリングストップ機能」が開発されていくのですが、開発当初のアイドリングストップ機能は再始動時のエンジンへの負担が大きかったり、セルモーターの耐久性が今よりも低く故障につながるなど技術的な課題が多く、一般的に普及させるレベルには至らなかったようです。
近年は、エンジンや電子制御といった技術進化が目覚ましく、現代の車においては停車時にブレーキを踏み続けるとスッとエンジンが切れ、ブレーキを放しアクセルを踏むと速やかにエンジンが再始動して滑らかに走り出すことができるようになっております。
アイドリングストップの普及の背景として大きく影響したのが、1988年に施行されたアイドリング規制(自動車排出ガス規制)で、当初は自動車メーカーがドライバーに自主的なアイドリングストップを呼び掛けておりましたが、ユーザーも徐々に関心を持つようになります。
乗用車として世界で初めてアイドリングストップ機能を搭載したのは、1971年に登場した丸みを帯びた見た目から「クジラ」の愛称をもつ4代目クラウン(S60系、S70系)で、1978年に登場した2代目スターレット(KP60型)の廉価グレードのDX-Aには「エコランシステム」という名称で自動アイドリングストップ機能が設定されていました。
その後、1990年以降の米国カリフォルニア州を中心に低公害車の認定が開始され、日本もそれに倣う形で2000年に低排出ガス車認定制度が開始され、車のリヤガラスに★印が付いたステッカーが貼ってあるのは既にお馴染みです。
さらには、2001年に環境対策されている車に対しての税率が優遇される「グリーン化税制」が施行されたのをきっかけに、アイドリングストップ機能とそれに対する意識が飛躍的に普及し始めました。
現在では、各メーカーによっての呼び名の違いはあれど、アイドリングストップ機能は標準的に装備されるようになり、開発競争が盛んに行われております。
同じアイドリングストップ機能でも、再始動時間の短縮や、セルモーターの耐久性など、メーカーによって特色が出ているのが面白いところでもあります。
それでは、アイドリングストップには、どのような効果があるのでしょうか?
おもには、次のような効果があると言われております。
ここからは、それぞれについて詳しくご紹介をしていきたいと思います。
まず、アイドリングストップ機能がある車は、停止時間が少なければ少ないほど燃料を節約できるため、お財布にも優しい機能と言えるでしょう。
しかし、実はこの効果、最近になってようやく確証された効果でもあるのです。
かつては、アイドリングストップ機能が搭載されている車は「本当に燃費が向上するのか?」という疑問の方が多かった様です。
確かに、1度の停止時間が短くても回数を積み上げると、1回の走行では数分~数十分もの間燃料を使わずに済ませられますので、燃料代の節約に大きく貢献することが想像できると思います。
ただし、アイドリングストップによってそのような効果を出すためには、下記の様でなければなりません。
■ アイドリングストップにより得られるエネルギー > 始動のために必要なエネルギー
しかし、アイドリングストップが普及した当時は、エンジンが停止すればエアコンやパワステ、トランスミッションなどの機構も停止するため、エンジンを再始動させるためのエネルギーの方が大きく、「実は意味のないものなのではないか?」とも言われていました。
近年の車は、バッテリーの高性能化やスターターモーターが強化されたため、「アイドリングストップは燃費向上に効果がある」と確証を得られるようになったようです。
節約される燃料としては10分間に約0.15~0.20Lほどとなり、毎日1時間アイドリング時にエンジンを停止すると、年間2~4万円の節約になるとも言われています。
車から排出される排気ガスには有害物質が含まれ、大気汚染の原因とも言われていますので、排気ガスの削減は大きな課題とも言われています。
さらには、車の排出ガス規制は年々厳しくなってきており、基準値を下回らなければ、いくら燃費が良くてもエコカーとして認定が受けられなくなっております。
その点、アイドリングストップ機能を使うと、10分間でおよそ70~100gの排気ガスを削減できるとも言われており、排出ガスを抑えてエコカー減税・グリーンカー減税対象車の認定を受ければ、国から補助金を受け取ることができるため、メーカー側は「基準適合車」と言う宣伝効果、購入者側は金銭的なメリットと、どちらもメリットが受けられるようになるのです。
アイドリングストップ中はエンジンが停止しているため、車からの騒音はゼロになります。
そのため、信号待ちや渋滞中が多い道路に隣接する家に住まいの人からすれば、騒音問題に悩まされることがなくなるでしょう。
特に、バスやトラックといった大型の車の場合の効果は大きいと言えるでしょう。
もちろん、車内もとても静かですので、快適に過ごすことができます。
ちなみに、エンジンを始動するときの「キュルキュル」鳴るモーター音は、最近のセルモーターの技術によってほとんど気にならない程度に抑えられていますので、エンジン始動の音にストレスが溜まるなんてことはありません。
ここまでだけを見てみれば、アイドリングストップ機能はメリットばかりとも思うかもしれません。
しかし、実際使ってみると、次のようなデメリットに気づかされる人もいるのではないでしょうか?
バッテリーやセルモーターの性能が強化されたと言っても、エンジンの始動が頻繁に行われれば、それだけバッテリーへの負担は大きくなります。そして徐々にバッテリーの寿命が短くなってくるのです。
また、エンジンが停止するとエアコンが使えないため、送風に切り替わってしまいます。
この場合、冬場はエンジンの熱のおかげで温風が送り出されますが、夏場だとアイドリングストップ中は暖かい空気しか出てきませんので、かなり辛くなるケースも・・・
さらには、エアコンが止まって車内の温度が変わると、ガラスが曇り始めることもあるため、運転に悪影響を与えかねません。
そして何より、運転に違和感を覚える人も少なくないでしょうか?
いくらエンジンが再始動するのが早くなったとしても、セルモーターが回ってからエンジンがかかり始めるまでには少なからずタイムラグが生じます。
最近の車はブレーキペダルから足を離して0.4秒ほどで再始動するようですが、それでも敏感な人は違和感を感じてしまうでしょう。
また、車の使い方によってストップ&ゴーを繰り返すシチュエーションでは、何度もエンジンが切れたり動いたりが繰り返されるので、煩わしさからイライラしてしまうこともあるかもしれません。
いくつかデメリットもご紹介したアイドリングストップ機能ですが、バッテリーを長持ちさせたい時や、短い距離を走る際でアイドリングストップ機能が不要なケースの際などのために、実はほとんどの車は意図的にアイドリングストップ機能をキャンセルすることができます。
アイドリングストップ機能をキャンセルするには、運転席の周囲に備え付けられているキャンセルボタン(Aに丸い矢印のボタン)を押せば、一時的にキャンセルすることができます。
この場合、エンジンを切れば設定が元に戻ることが多いため、エンジン始動時に毎回ボタンを押す必要があります。
もし、キャンセルボタンがなくても、オートバックスやイエローハットのような自動車用品店に売っているキャンセラーを後付けすれば、エンジンのオン・オフ関係なしにアイドリングをキャンセルできたり、ボタン1つで自由に操作することもできます。
アイドリングストップキャンセラーというような名前でネット通販などでも数千円で購入することができ、カー用品店などでは30分程度で取り付けることが可能です。
現代社会では、環境問題に配慮する製品でなければ受けいられないのも事実です。
特に、排気ガスを排出する車に関しては、少しでも環境に配慮できる車を各メーカーが研究・開発をしています。
もし、すべての車にアイドリングストップ機能が普及すれば、車から排出される二酸化炭素(CO2)が約44%も削減されるとの計算も出ています。
もちろん、ガソリン車に変わって二酸化炭素をまったく排出しない電気自動車や燃料電池車が普及するのが理想かもしれませんが、もう少し時間がかかるでしょう。
そのため現代社会においてアイドリングストップ機能は、欠かすことができない重要な仕組みの一つといっても過言ではないと思います。
私たち車を運転する人も、できるだけアイドリングストップを利用して地球にやさしいドライブを心掛けたいところです!
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
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