時折、田舎道や工場地帯などを走っていると、道路上や空き地に廃車が放置されているのを見かけたりしませんか。
車は有害物質・危険物質を抱え込んでいるため、そのまま放っておくと火災や環境汚染などの原因になります。そのような状況を防ぐため、廃車業界は車の新しい使い道を考えつつ、もう走らない車に新しい命を吹き込むお手伝いをしています。
今回は、廃車業界が社会にもたらしている良い影響について、廃車の再利用・リサイクルという観点から、いくつかその根拠をお伝えします。
目次
廃車は、そのままにしておけば動きませんから、ただのゴミ同然です。しかし、それぞれの部品・原材料にまで目を向けると、その中にはたくさんのお宝が眠っています。
廃車業界は、そのお宝に価値を見出し、新しい形で使えるようにするため、日夜技術を磨いています。また、廃車という単語を再定義して、日本以外の国で活躍できるよう、新しい使い道を見つけることも業務の一環です。
そもそも、自動車の中で「ゴミ」として処分されてしまうのは、あまたある車のパーツの中でも、ごくごく一部です。
1台の自動車を組み立てるには、1~2万点もの部品が必要で、しかもその中で廃車と判断される原因となった不具合は、ごく一部のパーツにしか見られない例もあるのです。
逆に言えば、多くの部品が再利用できるレベルの状態でとどまっており、そのまま使ったり、他の部品の材料にしたりすることができるわけです。
廃車業界は、地球上の限りある資源を再利用することを常に考えているため、結果的に環境保護につながる活動を行っていると言えるでしょう。
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廃車という言葉は、あくまでも日本国内で適用される言葉です。例えば、走行キロ数が10万キロを超え、そのモデルに商品価値が亡くなってしまった場合、日本ではもうその車は走れないかもしれません。
しかし、他の国々では、10万キロ走ったくらいなら「まだまだ現役」として扱われることはザラで、中には50万キロ以上走る強者もいます。
日本でも、根強いファンが廃車になるはずだった車を解体せずにレストアし、長く乗り続ける例があります。
車の買取業者は、そういった再販に関するルートに詳しいため、一般的には値が付かないとされる車にも料金を設定できます。車を車のまま有効活用することは、何よりのリサイクルだと言えるでしょう。
自動車の解体処理を行うと、ありとあらゆる部品が取り外され、骨組み・再利用が困難な部品だけが残る形になります。さらにそれを細かく分解していくと、最後の最後に「シュレッダーダスト」というゴミが出てきます。
具体的な内訳としては、ガラス・スポンジ・プラスチックなどの破片で、これらは埋め立て処理されてきました。
しかし、新しいリサイクル技術が生まれたことにより、より細かく物質を選別した後、残りは焼却施設で熱として再利用するという「サーマルリサイクル」という概念も生まれました。
現代では、塵さえも無駄にせず、再利用する方法が生まれています。廃車はもはやゴミではなく、重要な資源として扱われているのです。
廃車がきちんと処理されれば、各種パーツをもとに新しい車が生まれます。もう走れない車の中から見つかったたくさんの部品が、新しい車に再利用されています。
また、車に使われる用途だけでなく、金属として再利用を検討される場合や、家具や家などに再利用される場合もあります。自動車は、資源のデパートと言っても過言ではないのです。
自動車の部品の中には、比較的寿命が長いものもあり、廃車後に中古品として問題なく使われるものもあります。
また、相対的に見て日本の部品は優秀で、海外製のものより耐久性・性能が高い傾向にあることから、世界的に人気は高く需要もあります。
分かりやすいのはバンパーで、日本と海外ではそもそも使い方が違います。日本ではしばしばカーアクセサリー的な扱いを受け、傷があれば他の箇所同様に修理を行いますが、海外ではボディを守るためのパーツとして認識されています。
もしエンジントラブルで車が走らなくなっても、バンパーやボディはキレイなままという例は少なくないでしょう。同じように、ボンネットやホイールなどの金属製品も相対的に丈夫であり、使える状態であれば再販されます。
エンジン周りで言えば、ラジエーターも耐久性の高い部品で、エンジンのオーバーヒートを防ぐ役割があることから、壊れにくい部品に数えられます。
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諸々の部品を取り外したあと、残りの部品は車に再利用できないと分かったら、業者はスクラップにして金属としての再利用を検討します。自動車は、およそ80%が金属系のため、それぞれ用いられている金属を分別して再利用に用います。
具体的には、ステンレス・銅・アルミなどの素材が主になり、各業者が持つルートを経由して売却されます。業者によっては、自社でリサイクルを行うところもあり、その用途は多様です。
現代で注目されているのは、廃車の車体を大胆に活用する方法で、具体的には家具として使用されているケースがあります。古い車体のヴィンテージ感を利用し、机やソファーなどの家具を作っているところもあります。
アメリカなど日本以上の車社会では、廃バスを加工してトレーラーハウスを作り、それを売りさばいている業者ないし個人が存在します。
キャンピングカー以上に居住性が高められていて、販売価格は日本円で1,500万円ほどになるモデルもあり、中にはDIYで改造してしまう人もいます。
リモートワークが広がりを見せれば、このような形でのリサイクル例は日本でも増えるものと想定されます。
単純に車としての再利用を検討するだけでなく、新しい使い方を模索することが、これからのリサイクルには求められるのかもしれません。
廃車業界の現在を知っている人は、そのリサイクル技術の高さを知っています。しかし、一昔前の廃車業界の現状を見ると、決して良いものとは言えませんでした。
逆に言えば、そのような悪例があったからこそ、業界の良心が働いたとも言えます。ここからは、かつての廃車業界を苦しめた、悪いイメージを作った原因についてお伝えします。
現代でもそうですが、山奥の道路などを走っていると、車が野ざらしになっているのを見かけることがあります。
これは、廃車にするための費用に比べて、鉄素材などの資源の販売価格が下落したことに一因があり、廃車費用が高くなることを苦にして車を放置した例が少なくなかったようです。
もちろん、かつての持ち主が車を車検に通さず、そのまま放置して引越してしまったケースなどもあります。古いモデルの場合は、そもそも廃車という概念さえあいまいだった時代に、静かに放置されたのかもしれません。
鉄相場の下落と処分費の上昇について、もう少し詳しく見ていきましょう。
鉄や銅などの金属には相場があり、世界情勢の影響を大きく受けています。鉄スクラップを例に取ると、世界中で鉄の需要が高まれば金額は上がり、逆に供給が増えれば金額は下がります。
現代における世界市場で特に重要なのが中国で、中国の需要が何らかの形で減る・もしくは需要を制限されるようなことが起こると、価格が下落していきます。
2019年の例で言えば、不動産投資の伸び悩みにより需要が緩和傾向にあり、それに伴って金額が下落したものと推察されます。
すると、鉄を売りたいと思っても安値で売るしかなく、処分費用が変わらない場合、業者が損をしてしまいます。
リサイクル預託金によって廃棄費用の負担をユーザーが担うようになったのも、そのあたりに事情があります。
放置車両問題が全国的な問題として捉えられるようになった契機はいくつかありますが、中でも特に問題だったのが、悪徳業者の存在です。
香川県の「豊島(てしま)」で起こった不法投棄事件は、島の住民の生活を危ぶませ、中には公害により発病したケースもあったようです。
事の発端は1975年、豊島観光という会社が有害産業廃棄物処理場建設の許可申請を行ったことです。かねてから違法な埋め立てが問題となっていた会社だったため、島の生態系・環境破壊につながると住民から反対運動が起こりました。
一時的に和解したものの、豊島観光側の不法投棄は止まらず、大量の有害な廃棄物が焼却(事実上の野焼き)され、1988年に経営者が検挙され、1991年に有罪判決が下るまで、住民は不当に苦しめられてきました。
最終的に国が動く事態になり、2000年から始まった産業廃棄物の撤去・無害化処理は、何と2017年まで続きました。それでも地下水の回復にまでは至っておらず、住民が普段通りの生活を取り戻すには、まだまだ時間がかかるものと考えられています。
廃車業界をとりまく一般的なイメージは長らく誤解を受けてきました。しかし、リサイクルに対して世の中が目を向けるようになると、次第にその高い技術が見直され、再利用する方向性の幅も広がりを見せています。
この問題は、日本のみならず世界中で見られるもので、地球に暮らす人々がそれぞれの立場で解決に向けて動かなければならない問題です。
その意味で、環境問題に真っ向から取り組む廃車業界は、世界レベルで環境汚染の改善に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
おもいでガレージの問合せフォームから査定依頼をすると、あたなの愛車の価格がかんたんにわかります。廃車査定は現車を見せる必要がないのが特徴で、その場にいながら手軽に金額を知ることができるのです。
まずはお気軽に査定額を調べることから始めてみましょう!
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