自動車事故は前触れもなく突然やってきます。
事故を起こした側も事故を受けた側も、事故直後はパニック状態で事故状況を受け止めるだけで精いっぱいでしょう。時間の経過と共に冷静さを取り戻してくると、先々のことをイロイロと考え出してしまいます。
中でも『事故にあったのだから、この先この車は事故車扱いとなるだろう』と考えてしまい、損傷の程度にもよりますが『修理して乗り続けるべきか、このまま廃車処分するべきか』目の前にある自分の車のことで頭を悩ませてしまいます。
では、事故車とは一体どのような状態の車のことさしているのでしょうか。ユーザーは事故にあった車すべてに対して事故車だと断定してしまいますが、自動車業界における事故車とはズレがあります。
また自動車業界の中でも事故車の定義はマチマチなところも否めませんが一般的には『車の骨格(フレーム)が損傷している車を事故車とする』と定義付けています。事故にあっただけで事故車と一括りにしてはいけません。
この記事では自動車業界が一般的に事故車とする定義、事故車を修理して乗り続けるよりも廃車処分や売却をおすすめする理由、事故車を処分する時に必要な書類、手続きの流れ、最適な引き渡し先を詳しくご紹介します。
免許を取得してから約3割の確率で一生に一度は自動車事故にあうとも言われています。自動車事故にあわれた時、これからのことをお考えにな際に是非お役立てください。
目次
自動車事故にあわれたユーザーは自分の車の損傷度合いに関係なく事故にあったすべての車を事故車だと思ってしまいます。いくら事故の面影を感じさせないくらい綺麗に修理出来たとしても、事故後に1回でも修理をした車には修復歴が付いてしまうと思ってしまいます。
仮に修理して乗り続けた後、処分する時に修復歴車の為、タダでも廃車処分せざるおえないとも考えてしまっていることでしょう。確かに事故に遭っているので事故車とゆう見解は一理ありますが、ユーザーが考える事故車と自動車業界の中で考えられている事故車の捉え方にズレがあります。あわせて修復歴車となる車の認識にもズレがあるのです。
実際には事故に遭った車に対して、自動車業界では事故車と判断する公的な機関が定めた基準を設けています。この章では、自動車業界における事故車の定義をご紹介しましょう。
交通事故や災害の影響で車の骨格(フレーム)に歪みや凹みが生じた車を事故車といいます。人間の骨にヒビが入ったり折れてしまう状態と同じです。人が骨折すると日常生活に支障えをきたします。
これは車も同じです。外観やエンジンが好調でも骨格に歪みや凹みが生じると車そのものが大変危険な状態に陥ります。ドライバーにいくら高度な運転技術があったとしてもセーフティードライブを続けることは困難です。それほど車の骨格(フレーム)は重要な部分なのです。
自動車業界が事故車とする一般的な基準は下記の3つ公的な機関が定めた内容をもとにしています。
① 日査協(財団法人日本自動車査定協会)
② 公取協(社団法人自動車公正取引協議会)
③ 中販連(社団法人日本自動車販売協議連合会)
それでは3つの公的機関が定めた破損していると事故車と判断される主な骨格(フレーム)を図解でご紹介します。
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|
|
① |
フロント |
ラジエータの下にあり |
② |
インサイド |
フロントの左右の |
③ |
サイド |
エンジン、ミッション、 |
④ |
ダッシュ |
車台番号が刻印されて |
⑤ |
ルーフ |
⑦ピラーと一体に |
⑥ |
フロア |
前後座席の足元や |
⑦ |
ピラー |
フロント、センター、 |
⑧ |
バック |
テールランプや |
⑨のラジエータコアサポートは2016年7月より日査協、中販連、公取協などの統一基準から除外されました。とはいっても、この部品は主な骨格部分に溶接されているものです。
この部品を取り外しをすることは主な骨格部分に損傷を及ぼすこともありますので、未だに重要なフレームの1つとして扱われることもありますので気を付けましょう。
さて、次の画像は事故車でしょうか。
かなりベッコリいっています。
壁か何かにぶつけてしまったのでしょう。
幸いピラーやサイドメンバーなどの骨格(フレーム)まで損傷していませんでした。見た目は酷いですが、これは事故車ではありません。
前章でもお伝えしたように、車の骨格(フレーム)が損傷すると事故車になります。
ボディパーツ(外装部品)を修理・交換しても、骨格(フレーム)が損傷していなければ事故車ではありません。次に事故車扱いになる車とならない車を事例付きでご紹介します。
① 電柱に追突。ラジエータから右パネルが破損
② 後方から追突。エンジンルームのフレームを破損
③ 横から追突される。前後ドア、ピラーなど破損
④ ひょう害で天井に大小くぼみができた
⑤ 火災ににより全焼
⑥ アンダーパスで冠水
出展:日本自動車連盟 JAF
⑦ 海風を浴びていて腐食しサビが発生
① 壁に車体を擦ってボディにすり傷
② ボンネットが凹んでしまった
③ フロントガラスが割れてしまった
④ ドアが凹んでしまった
⑤ エンジンが掛からなくなった
画像をご覧頂いてご理解頂けましたでしょうか。外観がいくら酷い状態でも骨格部分を修理・交換しなければ事故車扱いでもなく修復歴も付きません。
水没や塩害などの災害にあった車は事故車扱いになる点もご注意ください。
車の買い替えや中古車を購入する時に修復歴あり・なしと目にしたことがあるでしょう。修復歴車とは事故にあったかどうかに関係なく自動車の骨格(フレーム)を修理・交換した車のこと指します。
|
事故 災害歴 |
骨格部位 修理・交換歴 |
車両名称 |
① |
有 |
有 |
修復歴車 |
② |
無 |
有 |
修復歴車 |
③ |
有 |
無 |
事故歴車 (申告義務不要) |
ケース①
交通事故や災害にあい車の骨格(フレーム)が損傷し修理・交換した場合は修復歴車であり事故車となります。
ケース②
交通事故や災害にあっていなくても骨格(フレーム)部位を修理、交換した場合は修復歴車ですが、事故車ではありません。
ケース③
交通事故や災害にあい車の骨格(フレーム)が損傷なく修理・交換しなかった場合は修復歴車ではなく事故歴車となります。特に事故にあったことや主要骨格以外の部品を修理・交換したことを申告する義務もありません。
ですので事故にあっていても修復歴車とならない場合もありますし逆に事故に遭っていなくても修復歴車となる場合もあります。このことから修復歴車だからといって一概に事故車とは判断できません。
【事故歴】
事故・災害などに遭った履歴
【修復歴】
骨格部が損傷して、修正・交換をした履歴
【修理歴】
ドア、ガラス、ミラーなどの主要骨格部位ではない部品を修理・交換した履歴
事故にあった後、直して乗り続ける場合は必ず修理した箇所を聞いて、しっかりと控えておきましょう。売却時に査定を依頼した時など、事故にあったかどうかは重要ではありません。
骨格(フレーム)を修理・交換しているかどうかが重要になります。売却時の買取金額にも大きく影響してしまいます。骨格(フレーム)を修理したのかどうかなど、車の修復歴は必ず知っておきましょう。
車の破損状態によっては修理しても完全に元通りになるとは限りません。安全面でも常に不安を抱えている状態でもあります。費用面からみても高額な修理費が掛かってしまう可能性もあります
仮に乗り続けて売却時の事を考えてみましょう。
前途お伝えした通り骨格部位の修復のある車は修復歴車となります。修復歴車の買取に消極的な中古車販売店舗を持つ買取店も少なくありません。何故ならば修復歴車は買い手が付きづらいからです。
逆に修理せず現状のままでも買取金額が付くこともあります。そのままの状態でも価値があるからです。買い取られた後の事例をいくつかご紹介します。
・解体してリサイクル部品や、資源として再利用
・事故現状車のまま海外へ渡り、現地で修理し販売
・ドラマや映画など、爆破シーンや事故シーンの撮影で使用
その他にも廃車買取専門業者は国内マーケット向けの販売ルート以外を持っています。買取価格よりも修理実費の方が高くつくケースも考えられますので修理せずに今の状態で廃車買取専門業者に売却することをおすすめします。
事故車の修理は程度にもよりますが結構な修理金額が想定されます。同等のスペックの車の販売価格と比較してみると修理費と同等ないしそれ以下で購入できることもあります。また保険金を修理費用として使わず買い替えの為の頭金に充当することもできます。
水没車に関しては、車両保険のみ適用となり未加入の場合は全額負担となります。エンジン交換、電装系交換、シートクリーニングなど、ほとんどのパーツを交換、修繕しなければなりません。
商品として再販化するために手間ばかり掛かることから、販売店では買取を敬遠されてしまいます。
廃車買取専門業者であれば中古パーツや資源として再利用する活路をもっていますので数万円の値がつき出張引き取りや手続き等も無料で行ってくれる業者もあります。車の損傷具合いや、愛着で修理するか売却するかを判断すれば良いと思います。
しかし、どれだけ愛着のある車だとしても、いつかは手放す時がきます。迷った時は下取り、買取り、廃車処分など売却して買い換える方が良いでしょう。
修理して乗り続けようと決めて加入していた任意保険に付けていた車両保険を使って修理することを考えたとしましょう。車両保険に入っていれば車の修理代を全額負担して貰えると思いがちですが車両保険で貰える保険金はその車の時価額(車両保険の保険金額)までです。
まさか事故にあって修理に保険を使うことなど保険加入時には思ってもいないので適用範囲を詳しく聞くことも、なかなかないでしょう。
事例と共にもう少し詳しくご紹介します。
① 車両保険の場合
修理費見積額 60万円 |
車の時価額が40万円で設定されていた場合の差額の20万円は自己負担になります。車同士の事故にあい相手の対物保険から修理費用を受け取る場合もあります。
② 相手の対物保険を受け取る場合
修理費見積額 60万円 |
過失割合に関係なく相手の保険会社の修理査定額が40万円であれば差額の20万円は自己負担となります。修理するかどうかは修理見積金額と保険金の受け取り額で判断しましょう。
また、修復歴がついてしまう場合は、修理して乗ってその車を売る時には査定額はかなり低くなるはずです。修理の費用、買取り金額、保険金の合計費用の差額を計算し、場合によっては修理せず現状のまま廃車買取専門業者に廃車処分を依頼して新たな車に買い替えるほうが良い場合もあります。
事故による車の損傷具合いにもよりますが修理費は高額になることが多く既に動かないぐらい損傷がひどい場合は廃車処分せざるおえません。
事故車や水没車などハンディキャップのある車両は何らかの特別な方法でを廃車手続きをしなければならないと思われがちですが一切特別な手続きはありません。事故にあっていない車の手続きとなんらかわりません。
この章では、どこに廃車を依頼すればよいか、廃車手続きの流れや必要書類をご紹介します。
廃車を考えた時に依頼先として次の4つが浮かぶでしょう。
① 車を購入した新車中古車ディーラー |
事故車を廃車する際の手続きについて簡単にご紹介します。
【手続き面】 平日の昼間に陸運支局へ出向いて廃車(抹消)手続きをします。 事故車でも一定の条件を満たすと自動車税(軽自動車除く)や自動車重量税や自賠責保険の残り期間の還付金を受け取ることが出来ます。 損傷がひどく自走不可や不能の場合にはレッカーなど出張引取の手配を行う必要があります。 保険会社へ自賠責保険解約手続きと任意保険の利用中断または解約手続きを行います。 |
上記を読んでみて煩雑な手続きが多く手間もかかる上に費用も掛かることが解ります。
①の自分で手続きすることはかなりハードルが高いでしょう。ですので業者にお願いすることをおすすめします。
事故車を廃車するための費用面はどうでしょうか。
【費用面】 廃車手続き費用は数万円 引き取り費用は業者の所在地から引き取り場所までの距離から算出 更に作業内容によっては追加費用が加算されることがある。 |
②の販売店は修復歴のある車を買い手が見つけるのが難しく、敬遠されてしまう可能性があります。車買取業者は廃車手続き、引き取り費用がかかる場合があり、出費は抑えたいところです。
となると事故車も対応可能で買取金額がつき更には廃車費用が全て無料で行ってくれる④の廃車買取専門業者を選ばれることが事故車でもお得に手放す事が出来るベストな方法だといえるでしょう。
一般的に用意する書類は以下の通りです。
【普通乗用車】スタンダード(9項目) 1 車検証原本 オプション 1 住民票(引っ越し1回) |
【軽自動車】スタンダード(6項目) 1 車検証原本(車内にあります。) オプション 1 所有先が用意した書類(車検証の所有者が本人と違う場合) |
書類が揃わず、還付金額が減ってしまい損をしてしまうことがありますので必要書類は、しっかり準備しておきましょう。
事故に遭ったからと言って、全てを修復歴ありではないことはご理解頂けましたでしょうか。また、受け取った保険金の使い方ひとつで修復歴のない車に乗り換えることが出来るかもしれません。
損傷具合によって廃車するのであれば自分でやる手間とお金を考えると事故車も対応可能な廃車買取専門業者に任せたほうが、手続きや引き取りなど全てを行って貰えるので楽です。最近では事故車、水没車、不動車などハンディキャップのある車も値段が付く可能性があります
但し、買取業者それぞれに独自の事故車の言い回しがありマチマチなこともあります。一概に骨格部位の損傷具合だけで事故車かどうか判断しきれないこともありますので注意してください。
一重に事故車だからといって諦めてしまわずに大切にしてきた車にとって最善のカーライフを見つけてください。
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
おもいでガレージの問合せフォームから査定依頼をすると、あたなの愛車の価格がかんたんにわかります。廃車査定は現車を見せる必要がないのが特徴で、その場にいながら手軽に金額を知ることができるのです。
まずはお気軽に査定額を調べることから始めてみましょう!
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