車で高速道路・一般道を走っていると、頭上にカメラのような設備を見かけることがあります。ドライバーにとって身近で有名なものとしては、速度超過した車両を撮影する「オービス」があります。
しかし、オービスと似た形をしており一見見分けがつかない「Nシステム」という設備もあり、こちらはやや特殊な使われ方をしています。
今回は、Nシステムとは何なのか、概要やオービスとの違い・設置場所・機能などについてご紹介します。
目次
まずは、そもそもNシステムとは何で、どのような用途に用いられるのかについて解説します。カメラのような形状をしていることから、撮影に用いられることは間違いないのですが、オービスとは用途が違うことに注目です。
Nシステムとは通称で、正式な名称としては「自動車ナンバー自動読取装置」となります。つまり、Nシステムの「N」とは「ナンバー」のことで、ナンバープレートを自動で読み取るための装置、ということです。
東京で1980年代頃から設置が開始され、現在では全国各地に設置されています。また、装置の名称は都道府県によって異なり、主に警察で犯罪捜査に用いられることが多いためか「捜査」という単語が含まれている名称が多いようです。
具体的には、以下のような別称があります。
とはいえ、一般人にとっては、普段生活している範囲では全く縁のない話ですから、名称の違いはあまり気にする必要もないでしょう。
Nシステムとは、走行中のナンバープレートを自動で読み取るシステムです。なぜこのようなシステムが生まれたのかですが、大きな目的として「手配中の車両を自動(無人)で検問したい」という警察側のニーズを満たすことが挙げられます。
しかし、残念ながらこのシステムは、車両の違法性を事前に分別して撮影することができません。要するに、撮影端末のカメラを通過する車のフロントナンバーが、無差別に撮影されます。
違法車両・盗難車両・手配車両などのデータはもちろん警察にあるため、そのデータとNシステムで手に入れたナンバーとを照合し、最終的にデータが一致したものを最寄りの交番・パトカーに落とし込むという仕組みです。
このように聞くと、何となく【オービスの高性能版=Nシステム】というイメージを持ちますが、そのイメージは若干異なります。車を撮影するという意味では共通点こそあるものの、肝心の車を撮影する目的が違うのです。
オービスも違法な車を取り締まるために用いられますが、その目的は速度違反者の取り締まりです。一定の速度を超過した段階で、スピード違反を犯した車両が撮影され、その際にはカメラ隣にある赤ランプが点灯します。
また、設備自体もNシステムに比べて大型となる傾向があり、比較的目立ちやすいルックスをしています。これに対してNシステムにはランプがなく、小型カメラのような形をしています。
中には、三脚で設置可能なものが、取り締まりの現場で導入されているという情報もあります。オービスに比べて柔軟な取り扱いができるシステムと覚えておくと、普段の運転で意識しやすいかもしれません。
続いては、Nシステムは主にどのようなところに設置されているのか、具体的な場所について触れていきます。やはり道路に設置されていることがほとんどですが、例外的に施設の近くで確認できる例もあるようです。
ドライバーがNシステムの端末を意識して見かけるのは、一般的には高速道路が有名です。
もともと、スピード違反を取り締まるオービスにはみな敏感になるため、車の上にある「カメラ」というだけで、何となくスピードを緩める経験をしたドライバーは多いはずです。
Nシステムを設置するようになった主な目的は、犯罪の抑制です。高速道路は比較的安全に高速走行ができるため、何の手立ても打たなければ簡単に容疑者に逃走されてしまうおそれがありますから、広範囲で逃走犯を抑えるために設けられたものと推察されます。
ちなみに、似たような設備として、高速道路の料金所に設けられている「AVIシステム」があります。こちらも、車両のナンバープレート・通過時刻・地点・車線・進行方向といった情報を読み取り、蓄積できるシステムです。
Nシステムとの違いは用途で、主に交通量調査・交通管制の目的で利用されています。
高速道路で主に見かけるNシステムの端末ですが、その他にも全国各地に端末は設置されています。犯罪を防止するという意味では、人通りの多い幹線道路・犯罪が引き起こされると大問題になる施設、宗教関連の施設などが該当します。
県境・都道府県庁・空港の近辺にも設置されており、もはや日本のあらゆる場所に設置されていると言えます。ただ、いち個人が設置場所を知ったところで、特に何かすることはありませんから、オービスのように場所を覚えておく必要性は少ないでしょう。
一般人が場所を特定しても、特に役立つことはありませんが、実はネット上でNシステムの分布をチェックすることができます。
実際に確認してみると、Nシステムの設置場所は、やはり圧倒的に大都市を要する県に集中しています。札幌・仙台・関東各所・名古屋・大阪・岡山・高松・北九州・福岡など、交通の便が多い大都市を中心に整備されているという印象です。
ただ、大都市ならばどこにでも集中整備されているのかと言えば、必ずしもそうとは言えず、やはり交通の要衝となっている地域で目立つようです。北海道などは、札幌市とそれ以外の地域で設置個所の数に大幅なバラつきがあり、人口密度との関連性も否定できないところです。
Nシステムの概要・設置場所について理解したところで、Nシステムがどのような形で私たちの生活に貢献してくれているのか、機能面に触れていきたいと思います。
ナンバープレートの情報を取得すると聞くと、私たちはナンバープレートだけを撮影できる機能を備えた特殊なカメラだと考えがちですが、そこまでニッチな性能というわけではないようです。
まずは、Nシステムの機能のおさらいとして、なぜ車両を無差別に撮影する仕組みになっているのか、その動機を説明します。
Nシステムは、盗難車両の捕捉・犯罪に使われた疑いのある車両の特定などに用いられ、撮影した車の情報は警察が「犯罪捜査に関する資料」として利用します。撮影したデータ単体では、その車両が問題のある車両かどうか特定することはできませんから、警察が持っている情報と付け合わせ、内容が一致すれば車両を判定できるという仕組みです。
ここで注意したいのは、Nシステムに設けられたカメラは、ナンバープレートだけを認識する特殊な性能のレンズが用いられているわけではないということです。
撮影時は車の情報が全て写真に載る形となるため、プライバシーが警察に丸々おさめられてしまうことになります。この点を問題視するドライバーは少なくなく、導入当初から肖像権侵害にあたるという指摘もなされてきました。
ただ、警察側の建て前としては、あくまでも手配車両を速やかに検挙するための手段の一つとされており、事実いくつかの事件解決に貢献した側面は否定できません。
Nシステムの情報により、犯人検挙につながった事件として有名なものの一つに、2013年11月に起こった「田園調布女子中学生誘拐事件」があります。
誘拐の事実を知った母親が警察に通報後、過去に江戸川区で盗まれたナンバープレートを装着した車がNシステムで特定され、事件発覚後1時間以内に犯人は検挙されました。
これは刑事事件に関する有効な活用法ですが、中にはあまり好ましくない活用例もありました。1999年のこと、中越地方の警察署課長警部が、女性警察官との交際をめぐって辞職した事件があり、その際に元警部の行動をNシステムで追っていたことが明らかになっています。警察官の非番の時間帯にまで干渉するのは装置濫用にあたると、県警内部からの指摘も入るほどでしたが、結局のところ例外措置として認められました。
プライバシーの保護という観点から考えると、やはりNシステムには国民を監視する一面があるようにも感じられ、不安を覚える人は少なくないようです。
ただ、Nシステムのおかげで事件が早期解決に結びついた例もまた否定できず、最終的には運用する側のモラルが問われると言えそうです。
Nシステムは、ナンバーを自動で読み取る装置ではあるものの、そのカメラにおさめる情報はきわめて汎用性の高いものです。
プライバシーの観点から見れば、全ての国民にとって必ずしも歓迎できる設備ではないものの、ただ無造作に撮影されているだけなら日常生活に影響を及ぼすことはありません。
一般ドライバーとして気を付けることがあるとするならば、速度超過に反応するオービスと勘違いして、思わず急ブレーキを踏んでしまうおそれがあることです。普段から、カメラにとらわれる必要のない「安全運転」を意識して、大事に愛車に乗り続けてくださいね!
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