「今皆さんにおすすめしているガソリン添加剤があるんですけど……」
ガソリンスタンドで給油しているとき、こんなことを店員さんに言われたことはありませんか?いろいろ宣伝文句を聞いてみると、エンジンの調子が良くなるとか、車の寿命が長くなるとか、店員さんが熱心に説明してくれます。
実際のところ、ガソリンの添加剤には、どのような効果・メリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、利用者の声なども含めて、本当のところをご紹介します。
目次
まずは、そもそもガソリンの添加剤について知らない方向けに、具体的にどのような効果を目的として作られたものなのか説明します。一目見た限りでは、コーラやジュースでも入っているようなパッケージなのですが、ある意味車の「エナジードリンク」的な存在と言えるかもしれません。
ガソリン添加剤について簡単に説明すると、車の中で燃料となるガソリンの質を高めてくれる添加剤のことです。詳しい使い方は後述しますが、文字通り「ガソリンに混ぜて」使用する添加剤なので、ガソリン添加剤と言います。
商品説明を読むと、主に以下のようなことが書かれています。
・燃焼効率アップ
・パワー感の向上
・排気ガスをクリーン化
ガソリンに混ぜるだけでこれだけの効果を担ってくれるなら、使ってみたくなりますよね!
ガソリン添加剤を入れることで得られる効果をものすごく大雑把にまとめると、要するに「エンジンの性能を回復させてくれる」効果がある、ということです。本来のエンジンの力を回復することで、副産物的に燃費が良くなる効果も期待できることから、
「燃費が良くなるから入れてみませんか?」
などと、ガソリンスタンドで声をかけられることがあります。この効果のほどは、実のところそこまで大きなものではありません。
というのも、年数が経過している車は多かれ少なかれ燃費性能が悪くなる傾向にあるため、燃費がその車の性能以上に良くなるわけではなく、燃費が「回復した」というのが正しい認識だからです。
よって、主にエンジン・車内部の調子を整えることが主であり、やはり車の「栄養剤的存在」と考えるとしっくりきます。
ガソリン添加剤と同じような用途で知られているものに「水抜き剤」があります。こちらも添加剤の一種ではありますが、若干使う理由・意味合いが違います。
よく、寒い時期に水抜き剤を勧められますが、これは本来真空状態のガソリンタンクに外気が入り込むことによって起こる、タンク内の「結露」対策として使われます。この水分は、水と油の原理で決してガソリンと交わることはなく、次第にタンクの底に水が溜まっていきます。
金属製のタンクを使っている車の場合、タンクが腐食するおそれがあります。また、水分がエンジンに運ばれることでエンジンに悪影響を及ぼす可能性もあるため、ガソリンと一緒に水分を燃焼させる水抜き剤を定期的に使っているドライバーも少なくありません。
しかし、現代の車は樹脂製のタンクを使っているため結露も起きにくく、基本的に水分の影響を心配する必要はありません。水抜き剤は時代の変遷とともに、その価値が薄まってきたものと言えるかもしれません。
前置きが長くなりましたが、ここからは、一般的によく言われているガソリン添加剤のメリットについてご紹介します。主に、以下の3つの効果を期待して利用するドライバーが多いようです。
ガソリン添加剤を入れるドライバーの多くは、添加剤が持つ「ガソリンの通り道にたまった汚れをキレイにしてくれる」効果を期待して、ガソリン添加剤を利用します。
なぜガソリンに添加することで効果を発揮するのかというと、ガソリンはタンクからポンプを経由して、エンジンにまで燃料として供給されるからです。
車を使用し続ければ、ガソリンを「燃焼・爆発」させて走るエネルギーを作るエンジンに汚れがたまり、エンジンに負荷をかけてしまいます。それを除去してしまうのが、ガソリン添加剤にもっとも期待されている効果の一つです。
エンジンの機能を維持するためには、定期的にエンジンオイルを交換します。エンジンオイルの交換は、単純にエンジンの燃焼機能を向上させる効果だけでなく、中のパーツ(金属製品)に油をさす潤滑油としての効果もあります。
エンジンオイルをエンジンから潤滑の役割を担うものとして考えるならば、ガソリン添加剤はタンクからガソリンに紛れ込んで潤滑の役割を担います。
このように、車が走る一連の流れの中で潤滑性を向上させることで車の寿命を延ばせる、というのが、ガソリン添加剤のもう一つのメリットです。
エンジンの中をキレイにして、潤滑性を高めても、長年外を走り続けていると酸化・腐食は避けられません。多くのドライバーはボディの痛みを気にしますが、意外と車の内部には無頓着だったりします。
エンジン添加剤は、こうした経年劣化を極力減らすためにも効果を発揮すると考えられています。
汚れの再付着防止成分、酸化・腐食の防止成分などが含まれているものが多く見られるため、愛車を長く乗り続けることを想定している方は、こまめに使った方が安心できるでしょう。
話を聞く限り、全ての車にとって「夢のような効果」があるガソリン添加剤ですが、人によっては必ずしも販売業者の宣伝文句を受け付けない場合があります。「添加剤を入れたから故障した」といった極端な意見こそ少なかったものの、やはりその効果を疑問視するドライバーは少なくないようです。
ガソリン添加剤は、魔法の薬ではないため、残念ながらもともとの車のスペックを超える効果は期待できません。また、添加剤を使うだけで、まるでエンジンが新品のようにピカピカになる!といった効果もありません。
中には、エンジンなどの部品部分を分解して、汚れが落ちているところを写真に撮っている人もいます。しかし、残念ながら全ての人がそれだけの技術を持っているわけではないため、こまめに効果を確認できるわけではありません。
よって、ほとんどの人にとっては、吹け上がり(エンジン回転数のスムーズな上昇度合い)や普段の燃費向上などから効果を推測せざるを得ず、効果というか体感に個人差が生じてしまうのです。
添加剤の種類は幅広いため、必ずしもガソリンスタンドなどで勧められたものが愛車に合うものとは限りません。商品によって「おすすめの車種」が定められているため、何でもいいから安いやつを入れておけばいい、というものではないのです。
これを踏まえて利用しなければ、かえって車の性能を悪化させ、最悪故障の原因になるおそれもあります。できればカーショップ・大型ホームセンターなどで、愛車に向いているものを選びましょう。
愛車との相性が良く、自分の感覚でも効果は高いものと感じられたら、おそらく誰でも長いこと使い続けるでしょう。
実際、お値段も車製品としてはワイパー1本分以下で買えてしまうものからラインナップがあるので、ついついこまめに使ってしまうというユーザーからの意見もあります。
確かに、エンジンオイルの交換同様、効果があれば定期的に行っておいた方が良いのですが、例えば3ケ月に1度のペースで購入しているようなことがあれば、やはり「塵(ちり)も積もれば山となる」で、家計に痛い出費になります。
メリット・デメリットを理解した上で、実際にガソリン添加剤を使ってみようと考えたなら、正しい使い方を知っておくと安心です。利用する際、そこまで難しいルールはありませんが、最低限のことは覚えておきましょう。
基本的に、ガソリン添加剤は「ガソリン満タン」のときには入れません。これは、ガソリンと添加剤をしっかり混ぜ合わせるための工夫で、添加剤を入れるのに十分なスペースがタンクにあった方が良いからです。
ガソリンスタンドで宣伝されているのは、まさに満タン給油の前に添加剤を入れるのが適正なタイミングだからです。そう考えると「いい商売してるな」なんて考えてしまいますね。
どのガソリン添加剤も、適量についてはパッケージ・説明書きなどに書かれています。多くの商品は、概ね40~60リットルに対してボトル1本が目安となっています。
ボトル1本に含まれている量も200~250ml程度ですから、基本的にはガソリンとの割合を計算しなくても問題はありませんが、軽自動車などタンクが小さい車に入れる場合は「ガソリン量の1%を超えない」ように調整する必要があります。
あまりに入れ過ぎてしまうと、かえってエンジンに負荷をかけてしまう可能性もありますから、十分注意してください。
ガソリン添加剤を入れるタイミングは、実はそこまで難しい基準があるわけではなく、乗車時にエンジンのレスポンスが悪いような気がする・吹け上がりが普段と違うなどの違和感を覚えたときに考えます。
もっとも、相当走りこんでなければ感覚はつかめないと思いますので、オイル交換・エレメント交換の際に検討するのが楽チンです。
ただし、入れてもらう場合は、きちんと何を添加するのか自分で決めましょう。車種によって使える商品が異なるため、店員さん任せにしない方が賢明です。
ここまで、ガソリン添加剤の概要・メリット・デメリットなどをご紹介してきました。しかし、今まで購入したことがない方から、肝心の「選び方」がよく分からないという意見が出ることもあります。
そこで、以下に具体的な選び方の基準についてまとめてみました。懐事情や愛車に合わせて、納得のいくものを選ぶ参考情報になれば幸いです。
車のことはよく分からなくても、値段が高ければそれ相応の効果が期待できるんだろうな、などと考えてしまうものです。これは必ずしも間違いとは言い切れませんが、どんな製品を選んだとしても、その効果のほどは未知数です。
愛車の年式・走行距離など、愛車が置かれた状況に応じて、1回で効果が実感できるかどうかが分かれます。逆に言えば、回数を使うことを想定して、安価なものを選ぶという方法もあります。
ガソリン添加剤を効果ありきで選ぶなら、以下の2つの視点があります。
①エンジン内部を洗浄する
②燃費改善やパワーアップ
①の視点で選ぶべきなのは、どちらかというと年式の古さ・走行距離の多さが目立つ車です。
逆に、②の視点で選ぶのであれば、比較的年式の新しい車のトラブル防止用として利用することをおすすめします。
ガソリン添加剤は、一口にガソリンを使っている車なら何でも対応できるかと言えば、必ずしもそうとは言えません。ハイブリッド車に向いているものもありますし、キャンピングカーのようにFFヒーター未対応のためNGとする車もあります。
マイナーな車の場合は、専門家やメーカーに確認して、自分の車に合うものを探しましょう。
ガソリン添加剤は、使う車によっては、早い段階で効果が確認できる場合があります。しかし、その車のスペック以上の効果を引き出せるものではありませんし、メンテナンスに必須というわけでもありません。
とはいえ、使ったことで車に何らかの問題が生じたという口コミ・意見などはあまり聞かれないため、車の調子が気になるなら一度試してみてもよいでしょう。
愛車と長く付き合うためにも、自分が使える予算に応じて使ってみてくださいね!
おすすめ記事