車の性能は年々進化しており、オーバーヒートに遭遇するケースは一昔前に比べて減ってきています。しかし、いざトラブルが発生した時に、ドライバーがあたふたしてしまう故障の一つです。
できれば一度も経験したくないトラブルですが、車の中で何が起こっているのか、リアルタイムで判断できないドライバーの方が圧倒的多数派です。よって、オーバーヒートのおそれがあるかどうかを判断する知識がなければ、エンジンをダメにしてしまう可能性があります。
愛車に長く乗り続けるためには、せめて見える範囲から状況を察知し、エンジンの悪化を防ぎたいもの。今回は、オーバーヒートの原因・対処法・修理代など、オーバーヒート対策となる知識をご紹介します。
目次
名前のニュアンスから、何となくエンジンで何が起こっているのか想像できますが、オーバーヒートのメカニズムをきちんと知っておくことで、最悪の事態を防げる確率が高まります。以下に、オーバーヒートの概要と、そのダメージの段階についてご紹介します。
オーバーヒートとは、エンジンの温度が正常時よりも大幅に高くなることです。エンジンが熱を持つこと自体は普通のことですが、問題はその熱さが尋常ではないことです。
エンジンの温度が上昇している場合、ラジエターなど車に備わっている冷却システムが対応して温度の上昇を抑えますが、故障・メンテナンスの問題があれば、それが上手く働かずオーバーヒートしてしまうのです。
オーバーヒートは、いきなりエンジンが爆発するとか、エンジンが止まるとかいった現象ではありません。段階を追って、徐々にエンジンの状態が悪くなるため、病気と同じで早めに気付けば適切な対処ができます。
以下に、軽いものから重いものまで、レベル別にご紹介します。
▲レベル1
比較的軽い段階で認められる症状で、普段出勤以外で乗らないという人は、なかなか気づきにくいかもしれません。具体的には、以下のような症状が認められます。
水温計は、普段どの位置を針が指しているのかチェックしていれば、比較的分かりやすいシグナルです。基本的に、何も問題なければ「真ん中よりやや下」を指します。ちなみに、寒冷地などは環境の問題から、冬場なかなか水温が上がらない傾向にありますが、これは故障ではありませんから安心してください。
▲レベル2
このままだとオーバーヒートまっしぐら、という状況では、以下のような症状が認められます。
水温計の目盛りがおかしなことになっている場合、大抵は水温計の警告灯が点滅しています。温度計が水に浸されているようなマークで、あまり見慣れないため、多くの人が初めて見たときは驚くはずです。
状況はかなり深刻ですが、この段階であればエンジンに致命的なダメージを与えずに対処できるかもしれません。停車できるならエンジンを止め、できることをやってみる価値はあります。
▲レベル3
もうここまで来ると、最悪の場合は車とお別れしなければならないかもしれません。以下のように、症状が深刻になってくるため、整備士に見てもらった頃にはエンジンが今後機能しないことも十分考えられます。
オーバーヒートによってエンジンが焼き付き、修理できてもかなり高額になってしまうおそれがあるため、こうなる前に異常に気付きたいところです。
エンジンのオーバーヒートが起こる原因は、大きく分けて以下の2つです。
エンジンは、冷却水(クーラント)によって冷やされます。また、水である以上、高温下であれば蒸発してしまうこともあるため、定期的に点検し、必要に応じて補充することが大切です。
また、車の冷却装置自体に問題が起こっている場合は、その都度修理を検討しなければなりません。ラジエーター・ウォーターポンプの不具合は、エンジン冷却・冷却水の循環に深刻な影響をもたらすため、劣化に気付いたら早めに交換することが大切です。
パーツに問題がないのにエンジンの調子が悪いとするならば、エンジンオイルの定期的な交換を怠ったことが原因かもしれません。エンジンがきちんと動くための潤滑油ですから、量が減る・質が悪くなると、摩擦・錆びの発生など、エンジン内部が傷つきやすくなります。
自分で気付けなくても、定期的に点検を受けていれば、プロの目から見て修理が必要な場所を指摘してくれます。すぐに交換が必要でない場合も、いつまでに交換した方が望ましいかアドバイスをもらえますから、修理を前提としない点検の習慣をつけましょう。
続いては、エンジンが実際にオーバーヒートを起こしてしまった場合、どのように対処すべきなのかをご紹介します。エンジンルームから煙が出ているような状況だと、どうしても焦りがちですが、事故と同じように「まずは安全な場所に停車すること」を目標にしましょう。
オーバーヒートを続けたまま走行を続けると、いずれ車が動かなくなります。仮に、高速道路などで路側帯に止められずストップした場合は、深刻な交通渋滞・玉突き事故などを巻き起こすおそれもあります。
車を停められるスペースを探し、見つからない場合は他の車の邪魔にならない路側帯などに車を停め、車の状態ごとに対策を講じます。もちろん、自力で何とかできない場合がほとんどですから、専門業者を呼ぶことも大切です。
エンジンがまだ本格的に悪くなっていない状況なら、まずは道路を走っていない状況で水温が下がるかどうか、チェックしてみましょう。水温計が振り切れていない・ややHに近い位置にある程度なら、アイドリングを続けることで水温が下がる場合があります。
一度エンジンが冷えたら、距離によっては自力で工場まで運転することも可能です。逆に、水温が下がらない状態であれば、すでに内部ではレベル3の状況が発生している可能性もありますから、エンジンを切って専門業者を呼びましょう。
すでに水蒸気・煙が出ている状態であれば、走り続けることは車に深刻なダメージを与えます。そのため、車を停めた後はエンジンを切り、ボンネットを開けて外気によるエンジンの冷却を試みます。
ただし、停車直後はエンジン周りが熱を帯びているため、ボンネットを開ける段階からやけどをしないよう、手袋などをはめて作業しなければ危険です。素手で作業することはせず、手袋がないなら熱が自然と下がるのを待った方が賢明です。
エンジンルーム内部を確認できるなら、ラジエーターの状態を確認することも忘れないようにしましょう。冷却水が不足していることだけが原因なら、当面は冷却水を近所のカーショップで買って補充するだけでも何とかなる場合もあります。
注意点として、エンジンが十分に冷えていない場合は冷却水自体が高温になっているため、ラジエーターなどにそのまま冷却水を補充するのはNGです。強い圧力がキャップに集中している状況のため、キャップが目元に飛んでくるおそれもありますし、せっかく冷却水を補充しても蒸気として逃げてしまう可能性があります。
あくまでも、エンジン自体に手を加えずに熱をとることから始めてください。
素人目にみて「異常」ではなく「事故」のレベルまで煙が出ているようなら、もうこれは自力で手に負えないものと考えてよいでしょう。速やかに専門業者に連絡し、対応を待ちます。JAFなどのロードサービスに電話して救援を呼び、あとは整備工場に任せましょう。
仮に、車がオーバーヒートした場合、修理をお願いするにはどのくらいのお金がかかるのでしょうか。ダメージの状況・不具合のある部品に応じて金額も異なりますが、決して安くはないものと考えておきましょう。
冷却水が少なくなることは、暑い時期であれば比較的見られる現象です。しかし、冷却水自体が大幅に減少しているようであれば、それはリザーブタンクやラジエーターに問題があるのかもしれません。
冷却水の補充だけで作業が完了するなら、数千円の出費で済みます。年式が5年以前・走行距離が数万キロ程度なら、車検まで様子を見るよう整備時に促される場合もあるでしょう。
不安を抱いたまま走り続けるのが不安なら、こまめに点検を受けて問題があるパーツを特定しなければなりません。特に、100,000km走行を目安に交換する必要があるウォーターポンプや、エンジンを冷やすラジエーター本体・ラジエーターホースなどの不具合は、部品自体の交換が必要です。
ウォーターポンプの交換は、部品自体が1万円~2万円、工賃は1万5千円程度を想定しておくとよいでしょう。ラジエーターはもっと高く、部品自体は2万円~6万円、工賃は2万円程度が必要です。ラジエーターホースのみの場合は、部品が1万円~2万円程度となっています。
ややマイナーですが、バルブ開閉に関わるサーモスタットという部品に問題がある場合も、交換を想定しておく必要があります。冷却水の水量調節を行うパーツで、部品自体は6千円~1万円ほど、工賃は5千円程度を想定しておけばよいでしょう。
残念ながら、エンジンから煙がもくもくと出てしまった状況だと、パーツ単位での修理では回復しないおそれがあります。最悪の場合、エンジンのオーバーホール・載せ替えを検討しなければならず、中古車1台分以上の金額がかかります。
あるいは、オーバーヒート中の走行状況によっては、エンジンだけでなく他の部分にも問題が生じ、修理自体が難しくなってしまう状況も考えられます。愛車のことを考えるなら、何はともあれこまめに点検・修理を行い、深刻なオーバーヒートを避ける努力が大切です。
オーバーヒートは、症状のレベルに応じて、自分で対処できる範囲・修理代の高さなどが違ってきます。できるだけ、初期の段階で異常に気付き、解決策を講じたいところです。
また、症状を放っておいて自然と調整される性質の故障ではないことから、問題が起こればどこかのパーツがやられていることを想定しなければなりません。安心して愛車に乗り続けるためにも、何が車にとって問題なのか、異変のシグナルをしっかり覚えておいてくださいね!
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