自動運転は人類の夢。
今まで絵空事にすぎなかったクルマの自動運転が、ここへきて急激に真実味をおびてきました。
どのメーカーでも構いません。あなたは最近発売された新型車に乗ってみたことがありますか?
たとえばこんな機能が普通に、常識的に標準装備されていたりします。
今の新型車の常識 例)スバル アイサイト搭載車
(注:作動する諸条件は省きかんたんに紹介しています。)
ほとんどドライバーが操作をしていませんよね。これはまだ高速道路にかぎっての一例ですが、このような自動運転に近い走行を、今どきのクルマは普通に平然とこなします。
すさまじい勢いでテクノロジーは進化しています。あと何年もすると完全自動運転も夢ではない! そのように考える方も多いのではないでしょうか。
しかし残念ながら、人の手を煩わせず完全な自動運転にたどり着くためには、この先まだまだクリアしなくてはならない問題が山ほどあるのも事実なのです。
完全自動運転に到達するまでには、いくつもの問題が存在する
そこでこの記事では、今の段階で考えられる自動運転を実現するまでに解決すべき問題についてご紹介していきます。
メディアでも話題にのぼる代表的な問題を中心にお届けしますが、これは氷山の一角。潜在的に埋もれている難問もたくさんあります。また、これから露呈していく課題も数多くあるでしょう。
そういった背景をとらえながら、この記事を読み進めてみてください!
目次
自動運転のクルマが事故を起こしたら誰が責任をとるのでしょう。
今までであれば運転をしていたドライバーに賠償責任が発生しました。しかし、正しく自動運転のルールに則って、クルマまかせの運転をしていたらどうでしょう。
解釈によっては、クルマを提供する自動車メーカー側に責任がある、とも言えそうです。システムの不具合、誤作動、AIの判断ミス、などさまざまな不具合が予想できます。
自動運転中に事故を起こしたら?
A ドライバーの責任?
B メーカーの責任?
たとえば、あなたが今おつかいのパソコン。たまに画面がフリーズしてしまうことありませんか。筆者のパソコンはたびたび機嫌をそこね、固まってしまいます。マンションの自動ドアのセンサーが反応せず、開閉がきかないことだって度々あります。
これがもし自動運転中のクルマであったら。機械やシステムにバグはつきものです。想像するだけで恐ろしい惨事が目に浮かんできますよね。
いま、各メーカーが目指している自動運転のカタチについて、『ドライバーの運転をサポートする』という姿勢を崩すことはありません。けっして『自動で(人の手なしで)運転してくれる』とは謳わないのです。
それもそのはずで、言い切ってしまえば最後。賠償責任は全てメーカーが背負うことになります。そのためあくまでも運転をサポートする、という立ち位置で、自動運転の開発はすすめられています。
タカタのエアバッグ欠陥問題のように、提供したサービスの賠償を求められたりすると、巨大な自動車メーカーですら容易に揺らいでしまいます。
メーカーが提唱するのはあくまで『自動運転技術は運転のサポートが目的』
自動運転とは人の手を介さず、コンピューターのシステムでクルマを動かすことです。人の手を必要としない、ということは、究極的には人が乗っていなくてもクルマが動かせてしまう、とも言えます。
そこで懸念されているのが、遠隔操作によるクルマの盗難です。
もしプロの盗難集団にシステムをハッキングされてしまうと、かんたんに盗まれてしまうリスクが生まれます。遠隔操作をされた無人のクルマが勝手に動き出し、容易に他人の手に渡ってしまうかもしれないのです。
ハッキングで、無人のクルマが盗まれる
当然、クルマのセキュリティ全般もシステムで管理。ハッキング集団とのいたちごっこが想像できますよね。
ハッキングにより、プログラムを改造された自動運転車は大変危険です。
世界を脅かす自爆テロ。今は人間が媒体になって攻撃をしかけます。もし自動運転車が普及し、無人の状態でも走行できるようになるとどうでしょう。
危険物や爆発物を載せた人のいない自動運転車が、目的へ向けて正確に任務を遂行するようになります。
地上から自動運転車、空中からドローンと、無人兵器が市民を脅かすようになるのです。
ハッキングで自動運転車が無人の兵器になる
システムをハッキングされてしまうと、第3者による遠隔操作が可能になります。
●行き先を変更される
●スピードを調節される
●危険な運転をしむけられる
さまざまな悪意を持った他人が、クルマをコントロールできてしまいますよね。
小さなイタズラから、犯罪、戦争のレベルまで、大小を問わず悪用できます。
ハッキングで他人の運転をコントロールできる
自分で運転をしなくなると、運転の技術が衰えていきます。
自動運転に慣れたドライバーが、普通にアクセル・ブレーキを自分で操作するクルマを運転したときに、事故や衝突などのリスクが考えられます。
そもそも運転とは”慣れ”の部分が大きいですよね。どの車種を運転してもよいはずの免許証を持っていても、やはり運転しなれないクルマには不安がつきまといます。
自分で運転しないと、運転技術が衰えていく
将来的には、”AT車限定免許”のように、”自動運転限定免許”という資格も生まれるかもしれませんね。またすべての車両が自動運転車ならまだよいのです。怖いのは現在ある一般的なクルマと自動運転車が混在した道路で運転をするとき。ひと際リスクが高まりそうです。
実はすでに人を介さないロボットカーなるものが実用化されています。と言っても建設現場のダンプカーや、鉱山、設定されたルートを走るパトロールカーなどです。
一般に行動で走行できる完全自動運転車は、法的に規制されており走ることができません。
一般人が公道で走行できる自動運転車はジュネーブ道路交通条約で、常時人間の運転が必要であると定義されている。
法的にも規制されているため、2016年の段階ではどこの国も発売されていない。
参照 Wikipediaより
日本国内でも、ハンドルのない車両が行動を走ることは禁止されています。
近年の著しい自動運転技術の発展で、少しづつ法の改正にも歩みが見られています。しかしまだまだクリアしなくてはならないハードルがいくつもあります。
自動運転化が進むにつれ、世界的に法の改正が必要になる
実際にグーグルで実験中におきた事故です。
グーグル社での事故ケース
自動走行モードで走行中、前方に砂袋があることを察知。それを避けて左に車線を変えたところ、後ろからきたバスの側面にぶつかりました。
バスはまさか右折しようとしていたグーグルカーが、反対の左車線に来るとは思わず、またグーグルカーはバスが止まる、と判断したようでした。
このように、感覚的な判断を人工知能がくだすことはできませんでした。
公道を走ると、急な飛び出しや、工事による片側交互通行、警察による誘導などさまざまなイレギュラーが発生します。そういった全ての状況に、果たして自動運転車は最適な答えを見いだすことが出来るのでしょうか。
この議論を他の角度から検証するときに、よく用いるのが『トロッコ問題』と呼ばれるものです。
トロッコ問題とは
ある人を助けるために他の人を犠牲にすることは許されるのか?という倫理学の思考実験。
参照 Wikipediaより
人間ですら答えの出しにくい命題に、人工知能がどこまでシステマチックに対応するのか。先ほどのグーグルカーの事故にしても、
A 砂袋を回避する
B バスに衝突する
2つ同時にイレギュラーが発生したときに、被害の大きさやあらゆる可能性をAIが瞬時に判断することは極めて難しいと言えます。
まして人命がかかっているような、局地的場面ではなおさらでしょう。
人間がおくる合図や素振りを人工知能が判断できるのか、これもクリアしなくてはならないハードルです。
たとえばこのような状況です。
自動運転車と歩行者が交差点に同時進入
↓
お先にどうぞ、と歩行者がジェスチャー
↓
人工知能には”歩行者優先”のプログラムがある
↓
どちらも立ち止まったままになる
人工知能がどちらを優先すべきか、臨機応変に判断をくだすのは難しいでしょう。そもそも判断の前にジェスチャーの意味が理解できないかもしれません。
合図といっても、人によってその動きはバラバラですから、いくつかのパターンを学習しておくことが必要です。
しかしそれでも全てをカバーするのは困難を極めます。さらに同時多発的に、犬が飛び出てきた、対向車が来た、雪が降ってきた、などが重なると、一度に処理をしきれなくなり、システムエラーを引き起こすかもしれません。
筆者は自動車業界に携わっています。最近、まわりの板金屋さんが、”仕事が減ってきている”と嘆いているのを耳にしました。
アイサイトやプリクラッシュセーフティなど、衝突回避の装備が普及してきているからだそうです。
自動運転でなくなる仕事ランキング
1位 空港内の巡回バス、運転手
2位 法人タクシーの運転手
3位 鉱山・林業・建設現場の運搬作業員
4位 米・トウモロコシ・穀物の農家
5位 ローカル線の鉄道運転士
6位 長距離ドライバー
7位 路線バスの運転手
8位 宅配便のドライバー
9位 ごみ収集作業員
10位 コンビニの店員
参照) 週刊現代 2017年2月4日号より
このほかにも自動車業界で働いている方は大勢います。
コンピューターが人に代わって仕事をする時代と言われて久しいですが、本格的に訪れるのはこれからなのかもしれません。
自動運転はクルマだけが進化すればいいというわけではありません。
たとえば信号で正確に止まるには、クルマと通信する信号機が必要でしょう。一時停止ラインで止まるには、クルマと通信する標識が必要です。
自動運転を車輛に内蔵されたレーダーとカメラだけで実現させるには限界がありますから、街中にあるたくさんのインフラ公共物にも協力してもらわなくてはならないのです。
その他にもナビを随時更新するシステム、天気の情報、GPS衛星、あらゆるものを共立してはじめて高度な自動運転が成り立ちます。
ちなみにインフラの整備には莫大な予算が必要になります。ますます超多額の設備投資費用が捻出されていくことは言うまでもありません。
アクセル・ブレーキ・ハンドリング。実際に自らの体と五感をつかって運転するのは本当に楽しいことだと筆者は感じます。
しかし自動運転が普及すると、ただ目的地に移動するだけの乗り物になってしまいます。クルマ好きの方には何とも寂しさを感じずにはいられないことではないでしょうか。
各メーカーが古くから提唱するドライバーズスピリットに期待したいところですね。
いかがでしたか。自動運転の実現に立ちはだかる11の問題を見てきました。
まとめますと、
自動運転の実現に立ちはだかる壁
1 事故が起きたときの責任の所在
2 ハッキングから盗難されるリスク
3 ハッキングから兵器として使用
4 ハッキングから事故を誘発する
5 ペーパードライバー化
6 法の整備、改正
7 人工知能の判断力の向上
8 人間の合図を理解できるか
9 自動車関連の仕事の減少
10 公共インフラ・通信の整備
11 運転する楽しさがなくなる
自動運転が社会にもたらす利益は計り知れないものがあるのでしょう。同時に、解決しなければならない問題もまた然りです。社会をも巻き込んだ課題は困難を極めますが、私たちは常に関心を持ち見守る必要があるでしょう。
ところで一個人としては、夢の完全自動運転車、やはり憧れます。タイヤを必要としない宙に浮かぶクルマが、ビルの合間に張り巡らされた透明なチューブ状の道を走る。子どものころはそんな未来を想像していました。
テクノロジーの進化はすさまじい速さで加速しています。もしかしたら意外と近い将来に、夢のクルマと出会えるかもしれませんね。
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
おもいでガレージの問合せフォームから査定依頼をすると、あたなの愛車の価格がかんたんにわかります。廃車査定は現車を見せる必要がないのが特徴で、その場にいながら手軽に金額を知ることができるのです。
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