今や自動車1台のリサイクル率は95%程度となりました。廃棄物を燃料とした熱エネルギーによる発電や、アルミ、ステンレス、銅などの資源の再利用の他に、自動車からは「鉄スクラップ(鉄くず)」を取ることができます。
鉄スクラップは、再び別の鉄製品に生まれ変わることができるため、資源の少ない国にとってはとても需要が高いものです。そこで今回は、自動車から取れる鉄スクラップ(鉄くず)の種類と鉄スクラップの市況動向をご紹介します。
目次
鉄スクラップは大きく2種類に分けることができます。製鋼メーカーにおいて、製鋼・加工の過程で生じる「自家発生スクラップ」と、世に出回る鉄製品が生み出す「市中スクラップ」です。
自家発生スクラップは、製鋼メーカー内で発生し、そのまま自社内で再利用されるため、市中に出てくることはありません。
自動車から取れる鉄スクラップは、市中スクラップです。市中スクラップは、さらに2つに分けることができます。
機械、電気などの工場等での加工工程から発生する「工場発生スクラップ」と、廃車、廃船、建物の取り壊しなどによる「老廃スクラップ」です。自動車から取れる鉄スクラップは、老廃スクラップにあたります。
鉄スクラップは、他の鉄鋼製品と異なり、価格の変動が大きい「市況商品」です。
日本がバブル景気に沸いた1990年前半には、関東では1tあたり2万円前後だった鉄スクラップ(H2)ですが、バブル崩壊後、下落の一途をたどり2001年には6,200円と、市場最安値を記録しています。
その後再び価格が上昇し、2008年7月には7万円近くの史上最高値を記録しましたが、その後たった4カ月の間に、リーマン・ショックの影響で1万円台にまで下落しました。
このように、鉄スクラップの価格変動は景気の影響を大きく受けるため、景気の先行きを映す指標の1つとして考えられています。
価格変動だけでなく、鉄スクラップの発生量も景気に左右されます。
鉄スクラップの発生量が減っている場合、鉄製品の製造量も減っていることになるためです。
自動車の場合、同じ車を愛用して乗り続けることはとても環境に良いことです。しかし、国にとっては、消費が冷え込み、経済が活性化しません。
そのような状況を改善するために、国が先導して廃車を促進し、新車の購入を後押しすることがありました。これを「スクラップ・インセンティブ」と呼びます。
スクラップ・インセンティブは、元々は環境問題への解決策として打ち出されたものです。古い車種から最新型の低燃費車・ハイブリッド車へ乗り換えようということが、当初の目的でした。
しかし、このような政策には当然批判があります。まだまだ乗れる車を廃車にする必要があるのか?無駄に廃車を増やすことにつながっていないか?
もちろん環境に配慮した新しい車に乗り換えることはとても良いことです。しかし、長年乗り続けた愛車を廃車にする必要はどこにもありません。
新しい車に乗り換える場合も、廃車にするのではなく、次の誰かに大切に乗ってもらいましょう。
自動車からは取れる資源の1つ、「鉄スクラップ(鉄くず)」は景気を先読みするための指標としても重要なものです。たしかに再利用できる資源を取ることは大切ですが、それでも自動車のリサイクル率は100%ではありません。
そのままの形で誰かに使用してもらう「リユース」が一番のエコなのかもしれません。
廃車をするにあたって最初の一歩は『あなたの愛車の価格を知る』ことです。
おもいでガレージの問合せフォームから査定依頼をすると、あたなの愛車の価格がかんたんにわかります。廃車査定は現車を見せる必要がないのが特徴で、その場にいながら手軽に金額を知ることができるのです。
まずはお気軽に査定額を調べることから始めてみましょう!
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